28 志保-2
家に着くと私も明良も殆ど無言で、私はすぐに床に入った。
暫くあの斉藤とかいう女医の言葉が頭を離れなかった。
夢の世界でおままごと、してたのかなぁ。
自分はただただ、明良に尽くしたい、明良の為なら、そればかり考えていたけれど、明良は私の為になにをしてくれた?
幼い頃は、夜になると泣く私を慰めてくれた。社会に出てからは私が住めるようにと広い部屋を借りてくれた。
でもそれからは――私を雁字搦めにし、自由に泳げると思うと首に付いたハーネスで引き戻され、俺の物だと所有権を主張され、そして自由にされ、また引き戻される。その繰り返し。
私はどうしたらいいんだろう。何をしたらこの悪しき輪廻から抜けられるのだろう。
「何でも聞くから」という言葉を思い出した。
鈴宮君、きっと明良に殴られたんだ。痕になっていなければいい。
朋美ちゃん、いつだって私の味方でいてくれる。
彼らなら、私の相談に乗ってくれる。私の行先を照らしてくれるかも知れない。