初めての夜-6
今度は反対側のお尻が叩かれた。
「ひあっ!」
ジンジンする痛みが、シホの尻肉全体に広がっていく。
「好い声で鳴くわねぇ。なんて叩き甲斐のあるお尻」
後ろ手に拘束され、冷たい床にうつ伏せになり、お尻を突き出した格好で、シホはお尻を叩かれるままになっていた。何度も、何十度もお尻が叩かれる。叩かれる場所も正確には同じところではなく、白い尻肉全体が満遍なく打擲されていた。
しかも、お尻の穴には極太のバイブレーターが、強烈な振動の設定で挿しこまれたままだ。油断するとバイブレーターが抜け落ちそうになるため、シホは時々力を込め、お尻の括約筋だけでバイブレーターを咥えなおさなくてはならなかった。その度に、振動が強烈に体内に響き渡り、悦楽の波が下半身を中心に駆け巡る。
「ふふ、そろそろかしら? スゴイ涎……」
サチコは左手でお尻を叩きながら、右手でシホの媚肉に触れた。無毛の割れ目をなぞるように触れ、淫らな汁を床に滴らせる蜜壷に指を挿し入れる。
「あふ……」
二本の指でシホの蜜壷を軽くかき回したサチコは、牝犬の肉芽を摘み出した。器用に片手で敏感なクリトリスを剥き出しにする。
「ふああっ! あはあんっ!」
女の最も敏感な部分をさらけ出されたシホの身体が、愉悦に打ち震えた。ドミナの指先がコリコリと女の核を摘む度に、突き出したお尻がフルフルと揺れる。
「ふふ、なんて好い声なの。そーれ、イッちゃいなさい!」
サチコはクリトリスを捻るように摘み、同時に掌を尻肉を力いっぱい叩きつけた。激しい打擲音が寝室に響き渡る。同時に、サチコはシホのお尻に突き入れられた極太のバイブレーターを一気に引き抜いた。
「ひああっ! ああっ!」
苦痛と悦楽、刺激と快感が下腹部を中心に、電流のような速度でシホの体中に広がっていった。痺れるような甘い感覚に全身が満たされていく。あまりの快感に堪えきれなくなったシホは、後ろ手に拘束されたまま、床をのた打ち回るように身体をそり返した。
「すご……」
サチコの一撃でシホの身体は絶頂を迎えたが、愉悦の波は一度ではおさまらなかった。女の中心から快感を伴った電流が繰り返し広がってくる。まるで、快楽を生み出す何かが体内で蠢いているかのようだ。
恋人が快楽に喘いでいる様を、ソファに身体を沈めたサチコは満足げに眺めていた。
午後のひととき。昼というには既に遅い時刻。
床で脱力したシホの腕から拘束具を外したサチコは、身体を起こした恋人にいきなり頬を叩かれた。
「もうしないって言ったじゃない!」
叩かれたのはいきなりだったが、予想していなかったわけではないようだ。サチコの表情に驚きは無く、赤くなった頬に手を当て、恋人に戻ったシホにほんのりと微笑んで謝った。
「ゴメンね。久しぶりだから、かなり興奮しちゃって」
「許さない」
「だって……。シホってば、レイナちゃん、レイナちゃんって……。ジェラシー感じたのはホントなんだから……」
「でも、アタシの恋人はあなたよ。他の娘と遊ぶことがあっても、私の恋人はあなただけなのよ」
「……レイナちゃんは別なんでしょ?」
「それは……、ほら、親娘なんだから、浮気じゃないわよ」
真顔で言うシホに、サチコはあきれた表情になった。
「あなたって、本当に……。いいわ、私も初心な小娘ってわけじゃないしね。納得してあげる」
「なによ、言いたいことがあるなら、ハッキリ言いなさいよ」
「……あなたが好き」
「は……」
唐突に真顔で言われたシホは、思考が停止してしまった。返す言葉も無く、ただ、恋人の真面目な顔を見つめる。
「あなたは、私のことが好き?」
「え、ええ……」
「旦那さんは?」
「……好きよ」
「レイナちゃんは?」
「……好き」
「ふふ、そういうことなんでしょ? あなたはいつだって本気なんだから」
確かに、シホが夫や娘を愛する気持ちに偽りは無い。サチコに対しても同じである。実際に肌を合わせる関係であろうが無かろうが、シホにとって大きな違いは無い。
「私は、そんなあなたが大好きなのよ」
「なんか、ごまかされてるような気がするわ……」
「気のせい、気のせい。ところで、もう一つ謝らないといけないことがあるんだけど……」
「なによ」
シャワーを浴びようとしてベッドから降りたシホは、反射的に身構えた。
「明日からしばらくは公演の練習で、会う時間があんまり取れないの」
「なんだ。いつものことじゃない」
「だって、こんなにエッチなシホは久しぶりよ。本当にガマンできなくなるんじゃないかと思って……」
「大丈夫よ。そこまで飢えているわけじゃないわ」
「本当に?」
「本当よ。でも、しばらく会えなくなるんだったら、もう一回、ね?」
「……不安だわ」