初めての夜-5
「ああ……、アタシ……。ああっ！ つ、冷たい……」
サチコに向けたお尻に、ドロリとした液体がかけられた。
「ああ……、これって……」
「いつものローションよ。すべりを良くしないとね」
「あっはああん……」
サチコの手で冷たいローションを会陰部に塗りたくられながら、シホの口から期待に満ちた甘い吐息が漏れ出した。お尻から得られるであろう快楽に、シホの心が淫らに弾む。
サチコの指先が菊門の周囲に触れた。だが、なかなか挿し込まれてこない。一瞬だけ指先が穴に触れたが、それは本当に一瞬だけであった。濡れた掌がお尻を撫で回し、細い指先がお尻の割れ目をなぞっても、肝心の一番触れて欲しい部分にはどうしても触ってこない。
顔を冷たい床につけたまま、シホは無意識にお尻を振り、自分を支配している女にねだった。
「サチコ……」
「なにかしら？」
「は、はやくぅ……」
「どうして欲しいのかしら？ ちゃんと牝犬らしく、おねだりしてごらんなさいな」
「ア、アタシの……、……に、……い、入れて、ください……」
「なーに、聞こえないわよ。シホがどんな牝犬で、何をして欲しいのか、ちゃんとハッキリ言いなさい」
ドミナの無慈悲な言葉に、シホの脳裏は目も眩むような感覚に満たされた。自分がどんな格好でいるのかもわからなくなり、反対に快楽を求めるお尻の感覚だけが敏感になっていく。
「アタシは……、お尻でよがる……、み、淫らな牝犬です。アタシの……アタシのお尻に、い、入れて……ください……。ふああっ！」
最後まで言い終えると同時に、バイオリニストの繊細な指先がシホのお尻に深々と挿しこまれてきた。それも、二本同時に、である。
「ひあっ……、あああっ……」
「好い声。でも、まだまだこれからよ。もっと力を抜きなさい」
「はうう……」
サチコの指先は、シホの菊門を広げるようにマッサージしはじめた。指先を曲げ、伸ばし、二本の指を広げるようにして揉み解す。
「ふふん、簡単に広がっちゃった。さては、私がいないときでもお尻で楽しんでるわね。どうなの？」
「は、はい……」
「そう。誰かにしてもらってるのかしら？」
「いえ、ひ、一人で……」
「ホントに？」
サチコの指が三本、シホの菊門に深々と挿し込まれた。
「はあうっ！ ホント、ホントです！」
「そう。シホはお尻でオナニーしてるんだ」
サチコはシホのお尻に指を挿し入れたまま、上半身をうつ伏せにしたシホの耳元に顔を近づけ、熱い吐息を拭きかけながら淫らに囁いた。
「変態」
「ああ……」
あまりにもストレートに罵られたシホは、恥ずかしさと気持ち良さで心臓が破裂するような感覚を味わった。このまま死んでも良いとさえ思ってしまいそうな、被虐と悦楽の快感が心から全身に広がっていく。
だが、サチコの言葉による責めは、まだ終わっていなかった。
「で、誰なの？」
「……え？」
「誰のことを思って、お尻でオナニーしたの？」
「そ、それは……」
バレている。知られている。この質問が出た時点で、シホが誰を思って自分を慰めているのか、サチコにはわかっているのだろう。だが、あえて聞いてきたところに、サチコのサディスティックな趣味が現れていた。今のサチコは、シホを支配するドミナなのだ。
「レイナ……です」
「そう。レイナちゃんのことを考えて、お尻でオナニーしてたの……」
「ああ……」
サチコはシホの耳たぶに噛り付き、再び、甘く淫らに囁いた。
「実の娘に、お尻を弄られることを想像しながら、一人でオナニーしてたのね。シホってば、本当に変態なのね」
「ああ……、も、もう許して……」
「ダメよ。実の娘にそんな欲望を抱くような母親には、タップリとお仕置きをしなきゃ」
「あ……」
シホの目尻に涙が溢れてきた。それは、罵られたことによる悲嘆の涙か、はたまた、お仕置きを期待する歓喜の涙か。
「まずはご褒美のほうね」
シホのお尻に再び回り込んだサチコは、ローションを注ぎ足した指先で牝犬の菊門を揉み解した。タップリと時間をかけ、お尻の穴を広げていく。
「ん……んふう……」
「準備はこれくらいでいいかな？ ふふ、指を離しても、お尻が広がりっぱなし。イヤらしい眺め」
「いやあ……」
「さ、いくわよ」
「そ、それって……。ひぎいっ！」
緩くなったシホの菊門に、バイブレーターが挿しこまれた。しかもそれは、いつも使っている細身のアナル用バイブレーターでも、珠の連なった形をしたアナルパールでもなく、先ほどシホの蜜壷に突き入れられた極太のバイブレーターだった。
「あ……うあ……が……」
さらに、サチコは容赦なくバイブレーターのスイッチを入れ、いきなり最も強い振動にセットした。
「いあ……う……あおお……」
本来は排泄する為の器官に凶悪な性具が無慈悲に挿しこまれ、ドミナの手によって前後に抜き挿しされている。
普段の甘い睦み合いとはまるで違う、凶悪で、しかも強烈な快感がサチコの手によってもたらされ、シホの口からは意味を成さない、呻きとも嗚咽ともとれるような、ケモノに似た声が漏れ出していた。頭の中は真っ白になり、シホの身体はお尻を中心にした悦楽の波に満たされていった。
「涎を垂らして、そんな顔でよがって……。ホントにお尻の好きな変態ね」
「ああ……、あはぁ……」
「それじゃ、今度はお仕置きよ。バイブを落としたら、もっとヒドくするからね。しっかりと咥えてなさい」
バイブレーターから手を離したサチコは、両手でシホのムッチリとしたお尻を撫で回した。両の掌で、熟女の豊満な肉の手触りを楽しむ。
「さ、いくわよ」
午後の陽射しが差し込む寝室に、乾いた音が響き渡った。
「はあんっ！」
重く、身体の芯から来る刺激とはまったく別の、鋭い刺激がお尻の肉に加えられた。サチコが掌でシホのお尻を叩いたのだ。
「どんどんいくわよぉ」