人狼族の裏切り者(注意、性描写あり)-3
ルーディが狼から人に変貌する姿を見たら、頭の中が白くなってクラリと視界が揺れ、気づいたらラヴィは幌馬車の寝台に寝ていた。
そばには、ベールを被ったままのソニアがいた。どうやら付き添いをしていてくれたらしい。
彼女は相変わらず黙ったままだったが、そっと暖かい湯を渡され、優しい手つきで髪を撫でられたら、やりきれない感情が爆発してしまった。
『ルーディが人狼だなんて信じたくない!!狼が……あの姿が怖かった……どうしてあの優しいルーディが、私の一番怖い狼なの!?ねぇ!!誰か教えて!!』
混乱の極みで、関係ない彼女に切々と訴えた。それでもソニアは辛抱強く聴いてくれた。
一言も発さないソニアは、もしかして口が聞けないのかと思ったが、ラヴィが泣く気力さえ失くすと、唐突に立ち上がった。と同時に、流麗で気品に満ちた静かな声がベールを抜ける。
『そなたは、あの青年を愛しているから悩むのじゃな』
たったそれだけだったけれど、穏やかにラヴィの心にしみわたった。
たちこめていた心の霧が、晴れていく。
彼女が馬車を出て行って少しすると、入れ替わりにルーディが来た。
思わず震えてしまったラヴィを見て、ルーディは泣きそうな顔になったが、文句一つ言わなかった。
命を助けてもらったクセに、人狼だなど悩んだ恩知らずな自分が、心底情けなくなった。
胸が詰まって一声も出ない。
『愛してる、ラヴィが欲しい』
その要求を拒否する理由なんか、どこにもなかった。
必死で頷いたとたん、押し倒され寝台に逆戻りになった。
「ラヴィ……ラヴィ……このまま抱きたい」
情欲に掠れた低い声は、聴覚から侵入し、ラヴィの理性を奪って羞恥を剥ぎ取っていく。
性急に衣服の紐が解かれ、首筋を甘噛みされる。
柔らかくあたる犬歯は、痛みでなく火のような快楽を植え付け、身体中がどうしようもないほど熱くなる。
「んっ!」
固く立ち上がっている乳首を吸い上げられ、喉を逸らせて喘いだ。
自分で触れても、何も感じないのに、唾液に濡れ光る先端へ吐息を吹きかけられると、それだけでビクンと身体が震えてしまう。
慎ましやかな桜色だった突起は、苺のように真っ赤に色づいて固く尖りきり、淡く色づいている周囲までも、プクリと膨らんでいた。
「あ……あ……あんっ!」
片側を吸い上げられながら、もう片方も指で柔らかく引っ張られた。
心臓をキュゥっと鷲づかみされるような、切ない感覚が走る。
「っは……はぁ……」
じんわり熱を帯びた下腹部に、ルーディの指が伸びる。
「ひぁっ!!」
秘められていたスリットをなぞられ、ちゅくんと沸き立った水音に、両手で顔を覆った。
「や……ぁ……媚薬使ってないのに……どうして……」
自分の身体がひどい淫乱だと証明されている気がして、このまま消えてしまいたくなる。
「感じやすいって、俺は嬉しいけど」
顔を覆った手を避けられ、嬉しそうに顔を覗き込まれた。
「で、でも……っぁ!」
ぬめった花弁の合間に指を一本埋め込まれ、声が跳ね上がる。
「あ、あ、あ……っ!」
撫でられるだけだった以前と違い、しっかりと体内に受け入れてしまった指は、最初こそ違和感を与えたが、すぐに慣れた
身体の中をかき回す指が、あのとき以上の快感をくれる。
「――だぁめです、ぼっちゃん!」
不意に、外からかすかにサーフィの声が聞え、ここがどこかやっと思い出した。
厚いとはいえ、ただの布で覆われた馬車の中だ。外には他の馬車もあるし、隊商の人間も大勢いる。
ルーディも表情だけで苦笑いしていた。だけど、止めるという選択肢はどうやらないらしい。
かき回されていた指が、ゆるやかに抜き差しされる動きへと変わっていく。
「っん!ぁ……」
あわてて指を噛んでこぼれ出した喘ぎ声を押し殺そうとしたが、うまくいかなかった。
ルーディに手を掴まれて引き剥がされたからだ。
「ラヴィ、声を出したくないなら、こっちにしよう」
どうしようもなくラヴィを煽る低い声で囁かれ、唇を同じもので塞がれる。