Re:〜後編〜-7
「そこだ。木々の間にある……ちょっと拓けておる所」
パシーはそこにゆっくり近づいた。
そこには明らかに魔法使いな感じの人々が、明らかに人間とは違う動きでモゾモゾ動いていた。
明らかに変だと分かる動きなのに何だかハッキリしない……何がおかしいのだろうか?と全員が首を捻る。
「っ!クソがっ!」
いち早く違和感の正体に気づいたアースが壁を拳で殴った。
「……死人ね……闇魔法だわ……」
同じく気づいたリンが憎々しげにポツリと呟く。
闇魔法……それは死人だけが扱える魔法……。
生きた人間が使うと精神を汚染され気が狂う代物だ。
死ぬ前に魂が闇に囚われると、死後に肉体が復活して闇魔法が使えるようになる。
その力は絶大な威力を持っており、魔導師を凌ぐほどだ。
特徴は白目部分が黒くなる事と、体が無限に腐り続ける事……腐り落ちても腐った部位が再生して再び腐る。
明らかに動きがおかしく見えたのは、腐った筋肉などのせいで動きがギクシャクしていくからだ。
更に、魂が闇に囚われているとまともな判断が出来ず、文字通り『生ける屍』となってあらゆるものを破壊し、肉体が滅んでも魂はさ迷い続ける。
では、『闇』とは何なのか?
詳しくは分かっていないが、一説には自分自身の心の闇だと言われている。
嫉妬、虚栄、欲望、優劣……などの感情が入り乱れて闇の世界へと引きずり込む……自分自身に負けた魔法使いの行く末だ。
『しかし、死人が団体行動ってあり得ねぇよな?』
獣型のグロウが不機嫌そうに尻尾を揺らして唸る。
魔法使いにとって闇魔法いはもっとも忌み嫌うもの。
魔力を持っているだけで重宝されるので、誰でも陥り易いのだ。
だから、学校では決して闇に堕ちないように教え込まれる。
もし、この中に教え子が居たら責任を持って引導を渡してやる……と、リン、グロウ、アースの3人は思った。
「そうよね……自分の欲望のままに動くから……」
リンも顔をしかめつつ人差し指を口に当てた。
「なぁモーガン。スネークは薬漬けにして従順にするって言ってたよな?」
アースは壁を殴った手を振りながらモーガンに確認する。
「はい。スネークの薬は中毒性が強く、1度使うと止められなくなり、使う度に量も増えます」
最後には薬の事しか考えられなくなり、薬を手に入れる為には人殺しなど平気でするようになる。
「その状態で殺すとスネーク側にとって従順な闇魔法使いが作れるな……」
闇魔法使いは欲望に忠実……死んだ後も薬の為にスネークに従うだろう。
「さいってぇ」
リンは怒りのあまりガリガリと爪を噛み、見かねたグロウがその腕に頭をこすり付けてやめさせた。