Re:〜後編〜-2
「は。セブ側の不手際ですのでこちらで処理しようと思いましたが……相手は巧みに魔術を操るうえに、魔法使いを集めているようでして……」
セブにも魔法使いは居るが、敵の魔法使いの数が半端ないようだ。
「魔法使いか……ゼビアの学校出だったらこっちにも責任があるな……分かった。全面的に協力しよう」
「ありがとうございます!」
協力をとりつける事が出来てモーガンは胸を撫で下ろした。
「アース、スオウ団長に話を通せ。キアルリア、モーガンを騎士団の詰所へ」
「「了解」」
2人は声を揃えて返事をした後、アースは先にスオウに伝えに行き、キャラはモーガンの所に歩み寄る。
「近衛騎士のキアルリアです」
「宜しくお願いします」
握手を交わし、キャラは何食わぬ顔でモーガンを案内する。
「あの……失礼ですが、ファンのキアルリア姫ですか?」
「はい。最近、近衛に任命されまして……今は妃専属です」
ゼビア騎士団隊長であり次期国王代理の魔導師アースが、ファンの姫を妻にしたのは有名な話。
「姫が……騎士団に?」
普通に考えたらあり得ない事だ。
「オレは魔力抜きならアースよりも強いからな、間抜けな隊長さん?」
がらりと話方を変え、パチンとウインクしたキャラにモーガンは腰を抜かす程に驚く。
「え?あ?まさか……闇市の……?」
キャラはクスクス笑いながら人差し指を口に当てた。
「他言無用だろ?」
「キャ…ラ?」
まだ信じられない顔のモーガン……確かにあの時はフードを目深に被っていて、髪の色も分からなかったぐらいだったのだから無理もない。
「そう。ちなみに一緒に居たのはアース。オーウェンは偽名だ」
驚きすぎて一瞬立ち止まったモーガンは、ケタケタ笑いながら歩くキャラを慌てて追いかけた。
「あの時は大変失礼を……」
「ヤ・メ・テ。姫だっつってもご覧の通り規格外だしな……モーガンも普通でいいよ?」
気さくなお姫様にモーガンは面食らう。
セブにも姫は居るが、それはもう、美しくたおやかで……庇護欲を刺激しまくる存在なのだ。
守って差し上げたい、ではなく守ってもらいたい姫とは……モーガンの頭は異常な環境についていけない。
「それと、キャラってのが愛称だからそっちで呼んでよ。ゼビアの騎士団員達は『姐さん』って呼ぶけどな」
「姐さん……ですか……」
未だに驚愕から抜けきれてないモーガンと世間話をしていると、あっという間に騎士団詰所に着いた。