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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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Re:〜後編〜-15

「わかったわ。頑張って」

 リンはグロウの首に抱きついて耳にキスすると、騎士団員らに声をかけながら城の中へと走っていった。

 アースの金色の陽炎は意思を持ったように動いて男の体にぶつかった。
 ボギンッと嫌な音がして男の両腕がもげてキャラから弾き飛ばされる。
 支えを失って崩れ落ちるキャラを金色の陽炎が受け止めた。

「キャラ!キアルリア!返事をしろっ!」

 アースは陽炎を使ってテラスの手刷りを越えてキャラを抱く。
 腕の中のキャラは蒼白くとても冷たい。

「ふざけんなっ!目ぇ開けろ!」

 どんどん冷たくなっていくキャラの体を暖めるように陽炎が2人を包んで明滅した。

『ピ』

 その周りをポゥがぐるぐる回ってアースに何か訴えるが、アースはそれに気づかない。

「アース……殿!」

 床に倒れていたデレクシスが動かない体を引きずってアースの服を掴んだ。
 陽炎に触れてバリッと体に衝撃が走るが、デレクシスは何とか耐えてアースの服を強く引く。
 バッと振り向いたアースの表情は、まるで捨てられた仔犬のように心細い。

「っ……しっかりしてくれよ……アース殿!」

 いつも自信に満ちているアースのそんな姿は見たくない。


「姫に……刺さってる剣を抜いてくれ」

 デレクシスは掴んでいたアースの服を離して、床に転がったまま伝える。
 しかし、そんな事をしたら失血死間違いなしだ。

「大丈夫……ポゥが失った血も戻してくれる……ただ……剣が邪魔なんだ」

『ピピッ』

 アースがポゥに視線を移し、ポゥは任せておけと何度も頷く。

「……頼む……」

 アースの体から吹き出していた陽炎が消えて、その様子に気づいたグロウは少し安堵し自分も陽炎を消してテラスへと移動した。

『急げよ』

 テラスに降りたグロウはアース達を背に庇うように、吹っ飛ばされて転がった男との間に立つ。
 アースは軽く頷くとキャラを抱いたまま剣をゆっくりと引き抜いた。
 完全に剣が抜けるとすかさずポゥが傷口に飛び付いた。
 パタパタと動く胸ヒレに合わせてキャラの服に染みた血や飛び散った血がキラキラと光だす。
 光は空中に集まってからポゥの体へ吸い込まれ、ポゥを通じてキャラへと戻り同時に傷口が塞がっていった。
 キャラの蒼白かった顔に赤みが差して胸が大きく上下に動く。

「キアルリア?」

 アースがそっとキャラの頬を撫でて名前を呼んだ。
 ピクリと瞼が動いて薄く目が開く。


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