乱れた関係-3
「雰囲気、か。おまえ、彼氏とどんなエッチしてんの?」
ふいにタクヤの手が、わたしの手首をつかむ。
「どんなって……」
手の大きさにびっくりした。昔は腕相撲だって、わたしのほうがずっと強かったのに。こんなに男らしい手になっていたなんて、知らなかった。タクヤはわたしの手首をつかんだまま、離さない。なんだか怖い、タクヤの顔。
「……何?」
タクヤのほうも驚いたような顔でわたしを見ている。長い睫毛、薄い唇、少しだけ尖った顎のライン。見慣れているはずの顔なのに、一瞬まるで知らない人のように感じた。
「おまえの手、こんなに細くて小さかったっけ」
なんだかドキドキしちゃって、いけないことをしているような気がしてきて、その手を振り払おうとしたのにタクヤはわたしの腕を離そうとしない。
「ねえ、ちょっと、痛いよ。離して……」
最後まで言い終わらないうちに、わたしの唇にタクヤの唇が重なった。柔らかい感触の後、ぬるぬると舌が入りこんでくる。
「タクヤ、何すん・・・んっ」
タクヤは唇を離し、わたしの口をその大きな手のひらでふさいだ。何か悪だくみをしているような、悪戯好きの子供のような瞳がわたしを見下ろす。
「いま1階にお袋と妹がいるからさ、絶対に声出すなよ。」
わたしは手を押しのけて、小さな声で言い返した。いきなりこんなことして、いったい何を考えているんだろう。
「そういう問題じゃないよ、やめてよ、彼女に悪いじゃない!だいたい昼間っからこんな……」
今度はすごい力で体ごと床に押さえつけられた。タクヤのもう片方の手が、わたしのシャツのボタンにかかる。