乱れた関係-2
「……で?」
「だから、ひとりだと、それくらい気持ちいいのよ。でも彼とヤルとそこまでいけないの」
幼馴染のタクヤがあきれたような顔でわたしを見ている。
ここはタクヤの部屋。わたしたちは小さいころから隣同士の家に住んでいて、いまは同じ大学の3年生だ。お互いに、恋愛中の彼氏、彼女がいる。わたしはタクヤに恋愛感情を持ったことは無いけれど、ちょっと他の人には言えな様な悩みとか、愚痴も、なんでも相談できる強い味方。わたしたちの間に秘密やタブーは無い。
「いや、彼のことは大好きだけど、いつまでたってもエッチが気持ちよくないって、わたし、おかしいのかなって思ってさあ……」
ああ、ため息が出る。タクヤが言う。
「言えばいいんじゃね?ここをもうちょっと、こういうふうに触ってほしいとか」
「馬鹿、そんなこと、好きな人に言えるわけないじゃない!!」
わたしはそばにあったクッションをタクヤに投げつける。タクヤは器用にそれを受け止めて、首をかしげる。
「えー、そうなの?」
「言えないよ!!だってさあ、恥ずかしいじゃない。変態とか思われるかも」
「……俺には昼間っからこんな話できるのに?」
「タクヤは特別。ほら、タクヤだって彼女にそんなこと言われたらどう?嫌じゃない?」
タクヤはちょっと考えて笑う。
「うーん、どうだろうな。俺の彼女も、反応見てるとちゃんと気持ちいいのかわかんねえ時とかあるしなあ。言ってくれるなら、そのほうがありがたいって思うかも」
「それはそうかもしれないけど……ほら、ムードとかもあるじゃない。やっぱり言葉に出しちゃうとちょっと雰囲気壊れたりしないかな、とかも思っちゃうし……」
彼と付き合い始めてまだ半年。彼のことは本当に大好きだし、少しでも嫌われるようなことはしたくない。彼の前でエッチのことについて口に出して言うなんて、無理。そんなの、絶対に無理。