ねこ の おやこ-5
ぼくはママにお願いをした。
ねこが生きているあいだに、たった一度だけつかえる、月夜の魔法。
今夜はちょうど、満月だ。
ねえ、ぼくはまりちゃんのために使いたいんだ。
ぼくはまりちゃんの、ともだちだから。
ママはとっても悲しい声で鳴いた。
きょうだいたちもみんなで鳴いた。
もちろんぼくも鳴いた。
さあ、みんなで行こう。まりちゃんのところへ。
いつもの塀をくぐりぬけ、壁をつたって2階へのぼる。
いた。
夕方に見たのと、おなじ場所にそのまま、まりちゃんはいた。
まりちゃん、まりちゃん。
みんなといっしょに、窓ガラスを何度もひっかいた。
やっと、まりちゃんがぼくたちに気がついた。