ねこ の おやこ-3
今日も通る、まりちゃんの家。
ママとみんなは、また先に行っちゃった。
ぼくはどうしてもまりちゃんに会いたくて、塀のすきまから顔を出す。
まりちゃんが、泣いている。
真っ赤な目をして、泣いている。
どうしたんだろう?ぼくがここにいることにも気がつかない。
まりちゃん、まりちゃん。
ぼくが声をあげてもこっちを見ない。なにがそんなに悲しいの?
ああ、ぼくのママが来ちゃったよ。
ぼくをくわえて連れて行く。ママ、待ってよ、まりちゃんが泣いているよ。
ほら、あんなに悲しそうにないているよ。
ママはぼくをくわえて塀の上にのぼる。
そうしてママは言う。
あの子はね、この家の本当のこどもじゃないらしいよ。
おとうさんもおかあさんも、毎日まりちゃんを叩いたり、蹴ったりしているんだ。
おまえは気がつかなかったのかい?
あの子の目は、いつだって泣きはらして真っ赤に染まっていたじゃないか。
ぼくはとってもかなしくなった。
まりちゃんはぼくのともだちなのに、ぼくはなんにもしてあげられない。
ママは人間とともだちになんてなれないって言うけれど、
でもぼくは、まりちゃんが大好きなんだもの。