・・・10月-6
何も言わないあたしの手をとって
達也はお店を出ようとした。
「逃げんのかよ?」
「お金は二人分、テーブルに置いてあるから。
逃げるんじゃねぇよ。
もともと帰ろうとしてたんだよ。
七海、帰るぞ」
確かにあたしのかばんをすでに持っていた達也が
さらにあたしの手を引っ張った。
「達也は七海の気持ちを考えたことがあるのかよ?」
それでもあたしたちに話しかけるマナブに
達也は一言
「うっせぇな・・・」
と吐き捨ててお店を出た。