・・・10月-3
そんな自分自身の感情をコントロールできなくて
あたしは席を立った。
だめだ。
少し頭を冷やさないと。
お酒で火照る身体を
トイレの手洗い場でハンカチを湿して
頬に当てて冷ます。
あー。気持ちいい。
やばいやばい。
これ以上、みんなの前で
達也に接近しないようにしなきゃ。
「よし!」
軽く頬をパンッとたたき
トイレから出た。
「七海」
静かに声をかけられたのは
さっきまで斜め前に座っていた
マナブだった。
「びっくりしたぁ〜。どうしたの?」
マナブは明らかにあたしを待っていた感じだった。
「七海、達也といまだに会ってるんだって?」
「え・・・うん」
「あいつ、大阪時代に付き合っていた彼女本気だっただろ?
こっちに戻ってきたときに別れたらしいけど
七海、そーゆーのちゃんと知ってるの?」
「・・・ん。知ってる」