嫉妬と欲望と-8
「ねえ、僕、エリナとこんなことしてるって斎藤に言っちゃおうかなぁ……あいつ、びっくりするだろうねぇ」
「だ……だめっ、あ、あっ」
いちばん深いところまで突きあげたまま、トオルがゆっくりと膣内を掻きまわすように腰を動かす。抑えきれずに声が漏れる。
「でもね、エリナは僕のものだから。ほら、僕のでこんなに気持ち良くなってるじゃないか……あ、僕もう気持ち良すぎてイッちゃいそうだ。こうやって繋がってるところ、斎藤に見せてやりたいよ……」
トオルの呼吸が荒くなる。あの純情過ぎる斎藤一樹は、この場面を見たらどんなふうに思うのだろう。見られていることを想像しただけで、恥ずかしさと興奮が混じったような気持ちになる。体を貫く快感を耐えながら、エリナはトオルが果てるのを待った。
トオルはゆっくりと楽しむようにエリナの中をさんざん突き上げてから、爆発するように射精した。熱い塊が体内で弾ける。ずるりとペニスが抜かれると、それを追うように白濁した精液が流れ落ちた。エリナはそれでもまだ離れようとしないトオルの頬を軽く叩いて、乱れた衣服を着けなおした。
「もう……こんな勝手なことしないで。わがままな子は嫌いよ」
「だって、エリナが悪いんじゃないか。斎藤なんかより僕の方がずっと気持ち良くしてあげられるって言ってるのに」
トオルの声に重なるように、エリナの携帯電話が軽やかなメロディを奏で始めた。斎藤からの電話。
『思ったより時間かかってごめん! やっと終わったから、温泉に行く準備してフロントまで来てくれるかな?俺はもうこのまま行くから』
「いいわ。すぐに行く」
部屋を出ようとするエリナを、なおもトオルの腕が引きとめようとする。その腕を払いのけ、エリナは廊下へ走り出た。これ以上面倒なことになりそうならトオルとの関係を終わらせなくてはいけない。欲しいものを与えてくれる分にはありがたいが、望んでいないものを押し付けられるのは迷惑でしかない。トオルもしょせんはその程度の男だったのだろうか。エリナは失望に似た気持ちを抱えながら、このあとのトオルの処遇に思いを巡らせた。
(つづく)