恋は盲目-3
「何よ、結婚してるクセに人のオトコまで盗ろうって言うの?! 世間ではそれを不倫って言うのよ!」
「ぷっ」
そこで、今度はシホが噴き出してしまった。
「ちょっと、シホってば、何笑ってるのよ……」
「だって、確かに不倫よねぇ」
シホは意味有りげにサチコに笑いかけた。
シホが思い浮かべたのは自分たち夫婦とサチコのことなのだが、目の前の小娘にはそれは伝わらないだろう。だが、状況が少し面白いので、あえて誤解を深めるような話し方をした。火に油を注いで楽しんでいるのが、サチコにはありありと伝わったようだ。
「ほら、そっちのオバサンも認めてるじゃないの」
「シホ、後で覚えてなさいよ」
恋人を軽く睨み返して、サチコは小娘に向き直った。
「ええと、こっちの話をちゃんと聞いてもらえるかしら?」
「口では何とでも言えるわよ! そんなヤラしい男好きをする身体して、どうせ変な色目を使ってるんでしょ! でなきゃ、ヒロ君がアンタみたいなオバサンを誘うわけ無いもの!」
最初に嫌な予感はしたが、どうやらそれが当たってしまっているようだ。小娘の頭の中には自分の考えたストーリーが先にあって、何を言っても彼女に都合の良いように解釈してしまうのだ。
「ううん、都合の悪いように、かしら?」
シホの背後に居たサチコは同性の恋人の脇に立つと、恋人の腰に手を回し、バスタオル越しに抱き寄せた。
「アケミさん、あなたのヒロ君にも言ったんだけどね、私たち、男に興味はないのよ」
「……は?」
「私の身体も唇も、ぜんぶ彼女のものなの」
サチコはバスタオル越しに、一糸纏わぬ見事な裸体を恋人に密着させた。そのまま小娘に流し目をくれつつ、顔を近づける。
「バカにしてるの? そんな、この場で思いついたようなデマカセ、信じる方がどうかしてるわ。ホントにバカバカしいウソ! 信じられない! 女同士でなんてありえないわ!」
「信じられないの? じゃ、これならどうかしら?」
視線を小娘に向けたまま、シホはサチコの唇を受け入れた。触れるだけの簡単なキスではない。舌を絡ませ、唾液が糸を引くような濃厚なキスだ。熱い口付けを交わしつつ、お互いの身体に手を回し、唇と身体を全身で味わうように重ね合せる。大きく眼を開いたままの小娘の視線を意識しつつ、二人は顔を上気させて唇を重ねた。オトナの女性だけが持つ妖艶な雰囲気をロッカールームに振りまきながら、全裸と半裸の美女たちはお互いの唇を貪り続けた。
「ん……ふ……」
元々さっきまで身体を絡ませ合っていた二人である。身体の奥に情欲の炎はまだ燃え残っており、軽く煽っただけで簡単に燃え上がってきた。アケミの視線もそれに手を貸しているのは間違いない。
それまで若さに任せた勢いで二人に迫っていたアケミは、予想外の光景に言葉を失っていた。熟した身体を密着させ、熱い口付けを交わす二人の美女に眼を奪われているようだ。だが、それも無理は無い。敵視していた二人の熟女が、まさか同性の恋人同士だとは、普通は夢にも思わないだろう。
「ウソ、でしょ……」
ようやく口をついて出た言葉はさっきと同じだが、気圧された様子のアケミは明らかに動揺していた。自分の方が間違っていたのではないかと思い始めつつも、納得は出来ていない様子だ。
端で見つめる小娘の視線を気にしつつも、再び燃え上がった淫らな炎は、抗いがたい情欲を二人にもたらした。二人は夢中で口付けを交わし続ける。
「んん……!」
身体を密着させたまま、シホはサチコの剥き出しの秘所に指先を差し入れた。軽く開かれた足の付け根で、ヌルリとした感触が指先に感じられる。
「すご……、もうこんなに濡れてる。さっきイッたばっかりなのに」
「だって……」
「いいの? あの娘が見てるわよ。ううん、見てるから、かしら?」
「分かってるじゃない」
サチコは軽くシホから離れると、シホの身体を覆うバスタオルに指先を掛けた。紐を引くように軽く引くと、シホの身体からバスタオルがはらりと舞い落ちる。
生まれたままの姿になった二人の熟女は、アケミの視線を気にしつつ、お互いの乳房に手を当てた。二人とも、鴇色の乳首が端から見てハッキリ分かるくらいに立っている。
サチコはハーフだけあって乳首の色は薄い目で、乳輪が少し大きいくらいだ。
対してシホは子持ちということもあって、日本人として人並みの色だが、乳輪が小さめで形も良い。
二人とも胸のサイズは人並み以上にあるので、どちらの乳房も淫らで扇情的だ。男でも女でも、吸い付かずにはいられない妖しい魅力を放っている。
サチコはシホの前でひざまずくと、恋人の腰に両手を回し、幼女のように綺麗な秘所に顔を近づけた。
「ウソ……、そんなコト……するの……?」
淫らな雰囲気に呑まれたアケミは、その場で動く事もせずに、二人の美女が絡み合う様を眺めていた。ただ、その表情はさっきまでの険しいものではなく、頬がほんのりと上気している。常識ではありえない、女同士の淫らな空気に、どうやら酔い始めているようだ。
ひざまずく恋人の頭に手を載せたシホは、両足を軽く開いて腰を突き出した。立ったまま、無毛の媚肉をサチコに押し付けるような体勢になる。
恋人の求めに応じるように、サチコはシホの媚肉を舐め上げた。犬のように舌を長く伸ばし、舌の平全面を使って、恋人の敏感で淫らな部分を刺激する。
「ん……あはぁ……」
女の中心から伝わってくる例えようも無い快感に、シホは塊のような吐息を漏らした。顔が熱くなってきており、自分の頬が上気しているのがわかる。自分の表情を意識しつつ、シホは恋人の舌がもたらす快楽を味わいながら、潤んだ瞳をアケミに向けた。年上の余裕から、小娘を挑発するように薄く微笑む。