囚われの三日目についての記述。-1
体中を熱と気だるさに蝕まれながら、サーフィは目をさました。
着ているのは、昨日と同じようなローブだったが、やはり新しく清潔なものに着替えさせられていた。
シーツも取り替えてある。
傍らのテーブルには、まだ湯気の立っている新しい食事が置いてあった。
まるで病人食のような、消化のよさそうな粥だ。ハチミツの壷も新しくある。
「う……。」
ハチミツの壷を憎らしそうに睨み、サーフィはよろよろと身体を起こした。
食欲などなかったが、このままでは衰弱する一方なのも解っている。
無理やり粥を口に押し込み、水を流し込む。
半分も食べれなかったが、暖かい食物が胃に入ると、少しは身体が楽になってきた。
さじを置いて数分もしないうちに、扉がノックされた。
入ってきたヘルマンは、中身の減った皿を、満足そうに眺めて頷く。
「いい子ですね。」
かぁっと頬が熱くなるのを感じて、サーフィは横を向いた。
こんな事になっても、まだヘルマンに褒められると、嬉しくてたまらない。
どきどきと心臓が高鳴り、胸が苦しくなる。
この感情は、捨てなくてはいけない。決して、応えてなどもらえないのだから。
「さぁ、始めますよ。」
白衣を脱ぎ、隣りに腰掛けたヘルマンが、頬に軽く口づける。
優しく労わるようなそれに、泣きたくなった。
悪魔みたいに残酷な人だ。
ここまでしておきながら、軽蔑させ嫌う事すら、させてくれない。