囚われの二日目についての記述。-4
「あ……あ……ん……んん……」
自分の淫らな声を抑えようと唇をかみしめるが、花弁を唇で挟むように愛撫され、赤く色づいた種が舌先でつつかれると、そんなささやかな抵抗など、あっさり崩されてしまう。
「は……はぅん……」
執拗に花園を舐め回す舌が、もっと蜜をくれとばかりに、奥へとそっと差し込まれる。
まだこの男しかしらない場所が、サーフィの意志とは無関係に喜んで、とろりと新たな蜜を提供した。
「ん、んあ……あああっ！！」
一際たかい嬌声があがり、サーフィの背が大きく仰け反る。ガクガクと腰が跳ねる。
荒い呼吸を吐きながら、涙の膜が張った目を薄っすらあけると、ヘルマンと目があった。
艶のある笑顔を浮べた男は、これ見よがしに自分の唇をぺろりと舐めてみせつける。
淫らで獰猛な獣に食い荒らされるような気分だった。
あわてて顔を背け、硬く目を閉じる。
「んっ」
差し込まれるものが舌から指に変わり、慎重にゆっくりと奥まで侵入していく。
多少の痛みはあったが、それ以上に身体は、待ち焦がれていた刺激を喜び、きゅんっと締め付けてしまう。
「は……あ……」
もどかしいほどゆっくり抜き差しされる。
一度抱かれただけだというのに、ヘルマンの指は、内部の快楽スポットをきちんと覚えている。
三本に増やされる頃には、蜜壁はもう蕩けきり、ねだるようにヒクヒク震えながら指を求めていた。
「んっ！」
指が一度に引き抜かれ、ブルリと腰がゆれる。
ヘルマンがまた、金色のオリーブのような媚薬を取り出した。
「あ……それは……」
抗議の声も空しく、媚薬が胎内に埋め込まれる。
「んんっ」
そしてすぐ、灼熱の楔が押し当てられ、容赦なくずぶずぶと侵入してくる。
「あああっ！」
すぐに最奥まで深くつかれ、媚薬の粒が弾けた。
子宮口が薬を貪欲に吸収し、体中が火で炙られるように、熱が増す。
「中……とても熱くて、火傷しそうですよ。」
ちゅ……と、額に口付けられ、囁かれた。
そういうヘルマンこそ、手も身体もひんやりと冷たいのに、埋め込んでいるそこだけは、信じられないほど熱く固い。
艶を含んだ声に応えるかのように、体内の壁が蠢いて、彼を締め付ける。
「ヘルマン……さま……」
眩暈のしそうな快楽に、理性が溶ける。
負けはしない。心をへし折られた性奴隷なんかにならない。
それでも、気づけばすがるように両腕を伸ばしてしまう。
「あっ」
強く抱きしめられ、やっと聞き取れるほど、小さく耳元に囁かれた。
「そんなに可愛い声で、呼ばないでください。」
胸が締め付けらるような、切ない声音だった。
「我慢できなくなります……。」
何を？と聞く暇も与えられなかった。
激しく腰を打ち付けられ、内壁をすりあげられる悦楽に、悲鳴がほとばしる。
「あっ！ああっつ！ああっ！！」
理性どころか、プライドも身体も、何もかもどろどろに溶けてしまいそうだった。
溶け合って、彼と交じり合えるなら、それでいい……。本能が誘惑する。
「へる……ま……さまぁ……っ！」
一層はげしくなる動きにあわせて、サーフィの腰も淫らに揺れる。零れ落ちた快楽の涙が、上気した頬に、新たな筋を作っていく。
息も絶え絶えになりながら、涙で滲む瞳をうっすら開けると、アイスブルーの双眸が、すぐ間近にあった。
恥ずかしくて目を閉じようと思ったのに、吸い寄せられたように外せなくなる。
冷たい氷河の瞳の奥に、情欲の炎が揺らめいている。
「んっ……んん……」
押さえ付けられるように、強く唇を押し付けられ、貪られる。
「……。」
ああ。まただ……。
口付けの合間合間に、ヘルマンは何か告げるように、唇を動かす。
声にならないそれが、どうしようもない切なさで、サーフィの胸に突き刺さる。
罠なのかもしれない。
とても賢く計算高い人だ。この慣れた仕草から、女性経験も豊富なのだろう。
こうやっていつも、女性を堕とすのかもしれない……。
「あっあっ！」
そう思おうとしても、自分を抱いている男へ、狂おしいほどの愛しさが溢れる。
ああ。なんて滑稽なの。
こんなに酷い人を好きになって、どうすると言うのだ。決して応えてなどもらえない。
「あっ……も、もう……らめっ……」
快楽に呂律の回らなくなった舌で、賢明に訴える。
「ふあぁぁっ！！」
体中が、壮絶な快楽で溢れかえった。頭の天辺から足先まで、余すところなく突き抜けた快楽の証に、体内のヘルマンを、ぎゅぅっと締め付けてしまう。
「っく……。」
低い艶のもった呻きと共に、サーフィの奥へ精が注ぎ込まれる。
絶頂の余韻に浸る身体には、それすら強烈な刺激で、淫蕩に四肢をひきつらせた。
「はぁっ……はぁ……」
頭の芯がぼうっと蕩け、媚薬の熱に浮かされながら、意識が遠のいてく。
ぼやける視界の中で、ヘルマンが泣き出しそうな顔をしていたのは、見間違いだったのかもしれない……。