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氷炎の舞踏曲
【ファンタジー 官能小説】

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囚われの二日目についての記述。-3

 寝台の上に座ったまま、後から抱きすくめられた。
「っは……ん、んん……っ!」
「まだ、服の上から触れているだけですよ。」
 笑いを含んだヘルマンの声に耳をくすぐられ、ゾクゾクした痺れがさらに背筋を走る。
 肌を隠しているローブは薄く、その下は何も……下着すら身につけていない。
 後から回された手に、薄い布の上から乳首を軽くいじられただけで、あっというまにそこはツンと硬くとがり、はしたないほど自己を主張する。
「あっ」
 うなじをヌルリと舌でなめられた。
「昨夜はこちらまで、手が回りませんでしたからね。」
 乳首をいじる両手は休めないまま、執拗に首の後ろを攻められる。
「ひぁっ!あっ!」
 くすぐったいような、もどかしい感覚に逃れようと身悶えるが、しなやかなくせに力強い二本の腕がそれを許さない。
 しばらくそうやって弄り回されたあと、やっと布地越しに弄るのをやめた手が、今度はすばやくローブの帯を解き、ゆで卵の殻を剥くようにあっさりとを剥ぎ取ってしまう。
 そのまま肩を押され、うつぶせにシーツへ押し付けられた。
「ふ……ふぁっ!あ、あふ……っ!」
 肩甲骨の隙間に舌をさしこまれ、背骨にそって指を這わされる。
 恥ずかしくてたまらない。
 乱れきっていたとはいえ、昨夜はまだドレスのたっぷりした布で、体の端々は隠れていた。
 しかし今、サーフィが身につけているのは手枷だけだ。
 せめてもとシーツに顔を押し付けたが、ヘルマンの目に自分の裸体が余すところなく晒されているのだ と思うと、羞恥で気絶しそうになる。
 そんなサーフィの心情などおかまいなしに、ヘルマンはつぎつぎとサーフィの感じるポイントを見つけては、唇で吸い上げ、指先で嬲っておいつめる。
 背中を散々に弄り、引き締まった弾力のある尻の双丘を揉み、太ももや膝裏、足首にまで口をつける。
「はっ!ひぁっ!や、やめっ……!」
 しまいに身体をひっくりかえされ、また首筋からバスト、へそやわき腹など、気が遠くなりそうなほど丹念に時間をかけて愛撫される。
 もう、ヘルマンの舌や指が触れていないところなど、殆どないほどだ。
 そのくせ、今日は口付けをしようとはしない。
 そして、一番熱を持って、もう確認しなくてもぐっしょり濡れそぼっている秘所にも、指先をかすめようとさえしないのだ。
「あ、あ……」
 生殺しのようなぬるい快楽に、サーフィは身体をのたくらせる。
 それに気づいているはずなのに、ヘルマンは中途半端で残酷な愛撫を繰り返すだけだ。
 真っ赤に紅潮した頬を、行く筋も愉悦の涙が伝う。
「ひゃぅんっ!!」
 乳首をチュっと軽く吸い上げられ、弓なりに背が反った。
 その反応に、満足そうに目を細めたヘルマンが、ふと身体を離す。
「何か口にいれないと、体力が持ちませんよ。」
 食事のトレイからハチミツの瓶を取り上げ、戻ってくる。
 二本の指先を瓶に突っ込み、とろりとした黄金の液体を救い上げ、サーフィの口元へ突きつけた。
「……え?」
「どうぞ。」
 舐めろ、というのだろうか。
 困惑しつつも上体を起こし、サーフィが手を伸ばそうとすると、
「ああ。手を添えるなんて、色気のない事はしないで下さいね。」
 さらりと笑顔で釘をさされる。
「……。」
 上目遣いにヘルマンを睨み、おそるおそる口を開け、サーフィは彼の指に舌を這わせる。
「っん……んく……。」
 甘いハチミツの味は、馴染みの好物なのに、他人の指に絡みついているものを舐めあげると、こんなにも淫靡に感じるものなのかと、驚く。
 両手はシーツを握り締めたまま、餌を与えられる犬のように、ヘルマンの指をしゃぶる。
 ハチミツが少なくなると、口内から指が引き抜かれ、また新たな蜜をまとって、突き出される。
 口の中に指を入れられたまま飲み下すのは、案外難しかった。
 唾液と入り混じったハチミツが、薄い金色の糸を引いて顎を伝い、首筋や鎖骨を通過して、張り出した乳房へと 流れていく。
 ときおりヘルマンの指がわずかに動いては、からかうように舌先や上あごをなぞる。
「んくっ……ん……はぁ……っ」
 何度目かの蜜をしゃぶり終えると、ようやくヘルマンは、ハチミツの瓶をトレイに戻した。
「よく出来ました。」
 押し倒され、唇を塞がれる。
 ご褒美だとでもいうようなそれは、ハチミツをまとった指よりも、数段甘く感じる。
 快楽の毒に、頭の芯が蕩けそうになる。
「ふ……ぅん……」
 合わせた唇の端から、きれぎれの吐息と喘ぎ声が零れる。
「とても甘くて美味しいですよ。」
 ハチミツの味など、もうとっくに消えているのに、尚も舌で口内を蹂躙され続ける。
「もう少し、甘いものが欲しくなりました。」
 そう言うと、ヘルマンの唇が移動した。
 サーフィの身体に広がっている、蜜でできた金色の細い川を、あまさず舐め取っていく。
「ふぁっ!あっ!んぁぁっ!!」
 子猫がミルクを飲むように、ペチャペチャと熱心に舐め取られ、敏感になっていた身体がビクビクと快楽の刺激に引きつる。
「え……?あっ!?」
 下腹にまで蜜は広がっていたが、それを舐め終わっても、ヘルマンの舌は離れなかった。
 ぐいっと大きく左右に足を開かされ、今日はまだ一度も触れられていない花弁を、ぺちゅりと舐めあげられた。
「ふあぁぁっ!!!」
 体中を走り抜けた強すぎる刺激に、大きく喉が反った。
「やっ……だめですっ!!やめっ……!そのような所っ!!」
 快楽のせいで力の入らない両手で、必死に引き剥がそうとするが、ヘルマンは一向にやめようとはしない。
「何故です?ハチミツより美味しいですよ。」
 それどころか、そんな意地悪いことまで言って、花弁にまといついているサーフィ自身の蜜をむしゃぶる。


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