Re:〜前編〜-11
「じゃあモーガン。これからどうするか教えて?オレ達はセブにはたまたま来ただけだから、警備兵のアンタに従う」
「スネークをほっとくのか?」
キャラの話にアースは嫌な顔をする。
「とりあえずはな」
キャラは肩をすくめて続けた。
「正直、まだこんな事やってんならぶっ潰して再起不能にしてやりたいが……ちょっとなあ……」
前回はセブが協力を要請してきていたので、山ひとつ吹っ飛ばしても『ごめんね』で済んだが、今の立場でそれをしたら完全にセブに対して宣戦布告だ。
「あんたら何者だ?」
スネークを前から知っているような口ぶりに、今度はモーガンが怪訝な表情になる。
彼の質問にアースは微妙に笑いながら答えた。
「闇市に買い物に来た、ただの夫婦だよ」
「とにかくさ、オレらあんまり長居したくねえし、詮索されたくもねえんだよな」
そろそろ戻らないと捜索隊が出るかもしれないし、身分を明かして騒がれるのは嫌だ。
「分かった……敵は5人。リーダーは魔法使い。アイツが魔法陣を仕掛けた」
「ふうん……魔法陣は解除してやるし、そいつの相手は俺がする」
「モーガンの戦闘力はどんな感じ?」
「えっと……普通?」
キャラの質問に何と答えたらいいのか分からず、モーガンは妙な返事をする。
「じゃ、サポートお願いね。間違っても邪魔しないで」
バッサリと言い放つキャラにアースは思わず苦笑した。
「いや、しかし女性に……」
「オレはそこの旦那より強いよ?」
ためらうモーガンの声を遮ったキャラは、親指でアースを指す。
驚いて目を向けてきたモーガンの視線から逃げるようにアースは顔を反らした。
「つうワケで、モーガンは捕まってる人達担当。敵は殺していいかな?」
「止めとけ」
他国で殺人などするな、とアースはキャラをたしなめる。
キャラはチッと舌打ちして自分の武器を確かめた。
「じゃ、適当に転がしとくから……モーガンに手柄とらせてやるよ。その代わり、オレらの事は他言無用。オッケー?」
「お、オッケー」
モーガンに従うと言っておきながら、サクサクと作戦をたてた夫婦に圧されてしまったモーガンはコクコク頷く。
「行くぞ」
「了解」
短く声をかけたアースに返事をしたキャラは、地面を蹴って闇夜に消えた。
続いて馬車から出てトコトコと魔法陣の所まで来たアースは、地面に手をついて魔法陣の法則を読み取り、解除の魔法を発動させる。