第2章-7
「あの、奥様の代わりとは、何でしょう、旦那様」
六十歳近くになろうというこの脂ぎった男を、幸は驚きの眼で見つめた。
「では、はっきりと言おう、あんたを抱かせて欲しいんだよ」
あまりのその言葉に幸は息をのんだ。
彼女は美しい目を見開き、主人を驚きの目で見つめていた。
その幸の前に主人はいつの間にか、近づき幸を抱いた。
「あぁ、旦那様・・」
主人は幸が抵抗しないことを知っていた、
寡婦の幸は、強引に自分に抱かれれば拒否できない女だと言うことを。
主人は幸の唇を奪った。
(あぁ・・)
主人は、服の上から乳房を揉んだとき、彼女が観念したのを知った。
子供が三人居るとはいえ、熟年の幸の身体は熟れていた。
夫を失い、セックスの喜びを封印していたその鍵を開けられてしまったのだ。
この年になり、生理はすでに無かったが、
それでも女としての気持ちは失っていなかった。
どうすることも出来ないまま、幸は主人が用意していた布団の上に押し倒され
裸にされた。主人は着ている物を脱ぎ、裸になった。
その年とは思えぬほど、彼の身体は老いてはいなかった。
すでに股間のものは息づき大きくなっている。
主人の指が裸の幸の乳房を撫で、股間に走ったとき幸は観念した。
「あぁ、旦那様、優しくして下さい・・・」
「わかった、私の提案を受け入れてくれるのだね」
「・・・」
幸は声には出さなかったが、小さく頭で頷いた。
それを見て主人の指は幸の膣の濡れを確かめ、ペニスを幸の膣で一撫ですると
彼女の甘い蜜壷の中へ、それをするりと押し込んだ。
(あぅぅ・・)
久し振りに感じる男のペニス・・・
次から次へと押し込まれては引かれる浪のように幸の膣は主人に突かれ、やがて果てた。
(これが、セックスだったのね・・あぁ、私も女だったわ)
暫く夢うつつで、主人に抱かれながら幸はじっと目を瞑った。
その目からは、清流から溢れ出る清い水のような涙が頬を伝っていた。
その意味は、女として目覚めた女の自覚か、喜びか、或いは子供達に侘びる気持ちか、
更には下の階で寝ている奥様への懺悔の涙か・・・
それを知っているのは、幸の心だけだった。
その日から、幸は時々主人に二階へ呼ばれるようになっていった。
次第に幸の立場は、その家の家政婦と言うよりも主人の妾、
または娼婦といってもいいような女に成り下がっていた。
子供思いの優しい母は、家では相変わらずに優しい母を演じていたが
あの家で、二階で裸になる回数が増えていったのは皮肉である。
当然、子供達はそんな母の醜態は知らない。
ただ、敏感で早熟なエリカは、最近母が美しく女らしくなってきているのを感じ
不思議だった。
(お母さんは、誰かと恋でもしているのだろうか?)