Tale.1-2
未だに詠介は鞄を返してくれない
「もう……そろそろ返してよぉ……」
「…学校に着いたらな」
ドキ……
その笑顔は反則だ
また君の中に溺れてしまうだろう……
「詠介ー」
「…あ、純奈」
「…あじゃないでしょー……もう…」
詠介の彼女の純奈さんに“邪魔だ”という目で見られた
詠介と純奈さんは楽しそうに話している
ズキっと心が痛む
もうここには居られない
「じゃあ…また部活でね、ばいばい」
詠介の手から鞄を奪って走り出した
「…っおい!待てよ!」
待てじゃないよ
彼女がいるくせに
ただの部活仲間の私に優しくして
心奪って
狂わせて……………
“ ずるいよ、君は。”