バッドエンドロール-8
翔。
お願い、翔。
あのとき助けてくれたみたいに、この報われない恋にとどめをさしてよ?
好きになってくれないなら、嫌いにならせてよ。
粉々になった心ごと叫んだって届かない。
この想いは誰に届くんだろう。
ハッピーエンドに、魔女はいらない。
私は、――いらない。
ううん、たとえ魔女じゃなくても。
翔のお姫様に、翔のいちばんになれない時点で、私には、バッドエンドしか待っていないの。
それでも浅はかに私は願う。
バッドエンドのそのあとも、私は翔の近くにいられるんだろうか、なんてバカなことを。
それが長い間共に生きた――報われない恋の最期だというのに。
最悪の結末のあとでも。
お願い、どうかこんな私でも……まだすこしだけ、翔の近くにいさせてください。
そう爪先の泥をぬぐいながら、私は今日も涙を零すのだ。
叶わない願いだと、届かない祈りだと、だれよりも知っているから。