バッドエンドロール-5
どうせ貴女は選ばれない。
だって、わかるでしょう?
貴女は翔には釣り合わない、ふさわしくない。
だから私に協力してくれたらいいの 。
そうやって遠回しに告げてくる彼女たちがつける小さくはない傷もいつか私を殺す。
だから試すの。
どれだけ彼女たちの中で私が捨て駒か。
どれだけ翔しかみてないか。
どれだけ私は何がどうやったって翔の『幼馴染み』の『アズ』でしかないのか。
どれだけただ『アン』という一人の人間としてみられてないか。
それに、――気持ちよかった。
昔、私と親友なんだと翔の前で笑いかけた女の子がいた。
「翔くんの話もききたいな」
男なら誰でも可愛いと思いそうなほどまぶしい笑顔で彼女は翔にすりよって、立ち尽くす私は泣き出しそうなほど困惑し嫉妬した。
顔見知り程度の親友を名乗る周囲が私には多かった。
私 はそのころはまだこんな風に意地悪くなりきれなくて。
ただ黙って傷を飲み込むしかなかった。
まだ傷つけるには弱すぎて、傷つくには容易かった。
でも。
でも翔がそんな私の傷をみつけてしまうから。
「ねっ!アンズ!」
その瞬間だった。
翔は柔らかい空気を一変とさせて告げたのだ。
「アズに謝れ」
そんな風に翔が怒るのは私でさえ見たことがなかった。
だから一層彼女はなぜそんな風に言われるかわからず困惑していたし、私も突然の言葉にただ驚いた。
翔のあの目。
あんな目で見られたら幼馴染みの私だって泣き出したくなるほどつめたかった。
彼女のあの顔。
好きな人にあんな目でみられて平気な女の子はいないってわかるほどショ ックを受けてた。
でも次の瞬間が決定打だった。