本-1
それから本当に佐瀬先生と私は
私のバイトのある日の夕飯を食べに行った。
あの頃、誰がどんなに頑張っても
「先生」と「生徒」というラインを絶対に崩さなかった
先生と、一緒にご飯を食べるという行為が
私には信じられなかった。
22時ごろ仕事が終わる私たちは
ご飯が食べ終わると
もう終電の時間でそのまま駅まで歩いて
駅で別れるのが恒例となった。
不思議・・・
私がたとえバイトであっても
「先生」という枠の中に
少しでも入ったとたんに
「先生」は私を普通に受け入れてくれた。
あの、ラインはどこに行ってしまったんだろう・・・