The guard who loves me-29
―――ブゥゥゥゥゥ・・・ブゥゥゥゥゥ・・・
部屋の隅に放り投げておいた携帯電話のバイブレーションが再び作動する。
チラリと携帯の液晶に目を走らせると、
そこには別の国で取材する時に同行する護衛の名前が浮かんでいた。
愚問だが、女の名前である――――
「・・・・おいっ!!」
ラグナの目線が携帯の方に向かったことに対して、
怒気を含んだファングの声が耳元で響く。
「携帯なんか気にするな!ほら、こっち来い!!」
ラグナの右手を掴んだファングがグイグイと部屋の奥まで引っ張っていく。
流石のラグナも携帯の液晶ではなく、目の前にいる優秀な“女護衛”に視線を戻さざるを得なかった。
―――ブゥゥゥゥゥ・・・ブゥゥゥゥゥ・・・
未だに携帯は震え続けている。
ラグナが仰向けのままベットに押し倒された時も、
ファングが彼の上に股がり、バスローブの結び目をほどきにかかった時も。
そして、ラグナが上半身裸にされた時、漸く携帯のバイブは止まった――――
―――ドォォオン・・・
―――ドォォオン・・・・
―――遠くからは未だに花火を打ち上げる音が続いている。