The guard who loves me-18
“ハァ・・・ハァ・・・”
一切の音もない世界で、
互いの息遣いだけが耳に入ってくる。
そしてファングの吐く小さな息が微かにラグナの鼻先をくすぐった。
こうして密着した状態になって初めて、
ラグナはファングの身体から醸し出される独特の“女臭さ”を鼻腔に吸い込むことができた。
それは森の木々を思わせるような独特の香りのようで、
それでいて生身の女が放つ色気といったものもまざりあうという
言わばファング全てを表現している香りだと言えばいいのだろうか―――――
「・・・・・」
暫しの沈黙を経て、
ラグナは目を見開いたままゆっくりと顔を近づけていく。
自然と互いの身体は密着し机に腰を下ろしている形のファングに股がるような形のラグナ。
気づけば今までされるがままのファングの両腕がそれぞれラグナの腰と左脇に回され、
互いの接触を“手助け”している。
2人の唇はもう触れるか触れないかの距離にまで迫っていた。
目を見開いたままのラグナに対し、
いつしかファングは半目となり その唇も少し開いている。
唇の隙間からは夜目でも分かる白い歯が見えた。
桃色の唇とその白い歯に吸い寄せられていくかのように、
ラグナは自らの乾いた唇で
目の前にあるファングの唇を覆うようにしてゆっくりと口づけた。
――チュル・・・チュゥッ・・・
「ん・・・・・」
「・・・ン・・・ンゥ」
一度唇を重ねてしまったことで、2人の中の抑制の箍が外れた。
相手の唇を舌先で押し広げ侵入しようとするラグナに対し、
ファングもおずおずと自らの舌を差し出すことで応えようとする。
ラグナの分厚い舌がファングのやや小さい舌を絡めとり、唾液まみれのまま口腔内で吸い上げる。