The guard who loves me-15
「ふん、お前みたいな男にそんなことができるのか?
私みたいなやつによ!!」
「・・・・お前は女で、俺は男だ。その事実は変えようもない」
「てめえ・・・っっ」
ここで思わずファングの右手が瞬時に握りしめられ、次の瞬間にはラグナの顔面にまで突き出されていた。
―――パシィッ・・・
だがラグナも顔を動かすことなく、突き出された拳を左手で受け止めると、
そのまま手首を押さえ込んだ。
「・・・・・・」
「・・・・・」
先程までの激情の発露から一転、
互いの沈黙がテントの中を支配する。
ラグナは自分自身の中に、目の前に立つ女に対する
“義侠心”のような不思議な感情が沸々と沸き起こってくるのを感じていた。
いや、理由はどうあれ自分を襲ってきた彼女を助け出した時から この気持ちはあったのだろう。
その感情が、
ラグナに男として次なる行動に走らせた――――
「・・・教えてやるよ。
私がどれだけ男で、お前がどれだけ女なのかを!!!!」
―――ガッ
―――カチャンガチャン・・・バサッバサッ・・・
激しい感情の沸き上がりはラグナを無意識の行動に走らせていた。
太い左腕を一振りして机の上に置いてあった一切合切を全て地面に叩き落とす。
当然ランタンの光は消え、天幕の中を照らすのは屋外から入ってくる月明かりだけとなった