フィギュア-1
２４６。歩道に人人人犬木ガードレール。すべてがとまっている。空は見えない。上から覆い被さるように影が差した。その瞬間新たな人が。どうやらサラリーマンのようだ。もちろん止まっているのである。また影だ。それは人の手。OLの人形がまた彼によって置かれた。忠実に正確に彼によって作られたスピードのない世界だ。完成にはほど遠い。彼の理想の世界にはまだまだ遠いのである。また人形が置かれた。
彼の理想それは正確さ。本物とそっくりに作らなくてはならない。そうちょうど窓から見えるこの景色のように。いつかは自分の世界もスピードをもつようになるだろう。彼はそう信じているのだ。延々と彼はひたすら沈黙のまま作業をずっと繰り返している。いわば彼はこの世界の支配者であるのだ。しかし彼はそんなことを思ってはいない。
ただ忠実であればよい。外の景色と同じであればあるだけ快感がみたされていく。「目的」のためだけに彼はひたすら世界を作りあげていくのだ。ゆっくりと正確に。人形がまた置かれる―