投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Misty room
【その他 その他小説】

Misty roomの最初へ Misty room 1 Misty room 3 Misty roomの最後へ

Misty room-2

早朝の霧の中にいるような感覚だった。
僕は知らない街にいた。
何も持たずに、まるでぶらりと立ち寄ったように気軽な格好で、僕は見知らぬ場所に立っていた。頭の奥がぼやけている。
この街だけでなく、僕の記憶だけでなく、すべてに霧がかっていて、すべてが頼りない。
辺りを見回す。見慣れない街並みが揺らぐ。それは晴れることのない霧のなか。
僕はこめかみを押さえる。道路の真ん中に立ち尽くす。人影のない、静かな街。
僕は誰で、ここは何処か。
そんなことは大して重要じゃない。
ただこの空間を僕は受け入れ、この空間が僕を受け入れた。
それだけのこと。
そしてそれがすべて。
僕は大の字に寝転がった。往来の中央で、空を見上げた。
何年ぶりだろうか、空を見上げるのは。
ゆったりとした流れ。
ゆったりとした空気。
ずっとここにいよう。
そう思った。
それはきっと素晴らしい。
いつまでも続く穏やかな日々だ。
僕は顔だけを起こし、もう一度辺りを見回す。
僕は知らない街にいた。
霧はまだ晴れない。
きっといつまでも晴れない。
ずっといつまでも晴れない。


Mistyroomend


Misty roomの最初へ Misty room 1 Misty room 3 Misty roomの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前