ニチヨウビ-6
車で帰途に向かう。自宅までは、30分程度だろうか。
赤信号になり、わたしが先程買ったお茶を口に含むと、ショウが思いもよらない事を口にした。
「ねぇ、サオリさん……イクって、なに?」
わたしは思わずお茶を吹きこぼしそうになってしまった。
「え、もうショウ君、何を突然……」
「昨日、サオリさんが一杯言ってたから、何のことだろうと思って」
「ああ、駄目よ、そういうことを女性に聞いてしまっては……」
「そうなんですか? すごく気持ちよさそうだったから、何か頭に残ってて」
知ってか知らずか、何か言葉責めでもされているような気になってしまう。
ショウは無邪気にわたしを辱めている。だが、何故だか嫌な気はしなかった。
ちゃんと答えてやるべきなのだろうか。
「あの、ショウ君も昨日いっぱい出した時、気持よかったでしょう?」
「え、ええ……何かたまらない感じになりました」
「ああいう、一番気持ちよくなる瞬間の事を言うのよ」
「気持ちいい事を、イク、って言うんですか?」
「もう……駄目よいちいちエッチな言葉を口にしてしまったら」
「だって、サオリさん言ってましたし……」
「ああう……もう、昨日のことは忘れなさい」
「サオリさん、恥ずかしいんですか? すごく、綺麗だったのに」
「……」
「僕、またあれ見たいな」
運転席のわたしの太ももにロングスカートの上からタッチしながら、ショウが言う。
昨日のことを思い出したのか、少し鼻息が荒い。
「ちょっと、ショウ君。だめよ、運転中よ?」
「女の人のあそこ、おまんこって、言うんですか?」
「ああ……そんな事、誰に聞いたの?」
「学校の友達が話してたから」
「そんなお友達のこと、相手にしちゃ駄目よ」
「おまんこに、イクッ、てするのがセックスなんですよね? それがすごく気持ちいいんだって」
「そういう事、子供が言っちゃ駄目なのよ……」
「僕、サオリさんのおまんこに、イクッてしてみたい」
「ああ……」
ショウが無邪気にとんでもない事を話しだした。
子供がよく言いそうな他愛もない話というには、生々しすぎた。
わたしの体の内奥が、何か熱を帯びてきた気がする。
太ももを触るショウの手に力が入り、熱くなってきていた。
そして、わたしは店の駐車場に入り、車を止めた。