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小さな復讐
【ショタ 官能小説】

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ニチヨウビ-4

 一見、軽薄そうな優男だと思っていたが、見るべき所はよく見ていた。
 確かに、ショウには多少消極的な所はあるように思える。
 しかし、今日はどうも様子が違うというような事をタツヤは言っている。
 まさか、ショウとセックスの約束をしているから様子が違うのだとは言えない。
 
「今日のショウはかなり積極的ですね。綺麗な叔母さんが見ているからですかね?」

 タツヤがどこかわたしを茶化すような口調でニヤリと言った。
 綺麗かどうかは分からないが、この男が驚くような約束をしているのだ。
 それを伝えたら、タツヤはどういう表情をするのだろうかとふと思った。
 グラウンド上のショウは、必死な形相で動きまわっている。
 味方にパスを出し、その味方がまたショウにパスを出す。
 ショウは、そのパスを直接シュートした。ゴールの右上隅に決まった。

「いやぁ、あいつ今日凄いな、絶好調ですよ」
「そんなに、凄いんですか?」
「そもそもシュートをあまり打たない奴が、2ゴールですからねぇ。驚きですよ」

 タツヤが言うには、ショウはトップ下というポジションで攻撃的な役割が求められているらしいが、普段はほとんどゴールは決めないらしい。
 なんと、ショウはその後もう1点得点した。
 一人で3点とる事をハットトリックと言って、なかなか滅多にない事なのだという。
 タツヤは今日はお祝いしてあげないといけませんよ、などとわたしに言った。 
 
 だが、後半に入り、ショウは交代要員を出された。
 明らかに動きが悪くなっていたのである。
 タツヤは、ガス欠ですね、と一言解説した。張り切り過ぎたのだと言う。
 
「あいつ、ガス欠するほど動きまわるなんて、どうしちゃったんだろうな。昨日何かあったとか?」
「……いえ、特には」
「でも、こういうのはいいんですよ。やる事はやった訳ですから」
「そう、なんですかね」
「ええ。ところで、サッカーは見て楽しかったですか?」
「はい、ショウが頑張ってくれたし、解説もしていただけましたから」
「実は、私が以前所属していたチームの試合が今度あるのですが、よかったらそちらも見てみませんか? サッカーファンを増やすのも、私の仕事のうちなんですよ」
「……クボタさん、他に誘うような方がいらっしゃりそうだわ」
「そんな事はありませんよ。こう見えて、真面目なつもりなんですがね」
「少し考えさせてください」
「もしよろしければ、ここに連絡してください。お待ちしてますので」

 タツヤはわたしに名刺を差し出し、ニコリと微笑んで去っていった。
 試合も、終わったようだ。
 名刺には、どこかで聞いたことあるようなプロリーグの名前が書いてあった。
 タツヤは明らかに遊び慣れている雰囲気があったが、悪人には見えない。
 返事は、しばらく保留しておこうと思った。


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