深まりゆく関係-2
「あっ、痛い」
話を聞きながら、執拗にエリナの乳首に舌を這わせていたトオルが強く歯をたてた。痛みに声をあげると、不機嫌そうな声が返ってきた。
「なんだ、ほんとに恋人同士なんだね。僕、ちょっと妬けちゃうなあ」
「・・・面倒なことを言う子は嫌いよ」
「あはは、冗談。僕は良い子でしょう?いいつけだってちゃんと守ってるよ。エリナの傍にいられたら、何だってかまわないんだ」
たしかに良い子。余計なトラブルにならないように、トオルには毎日マミに電話を入れてときどき抱いてやるようにいいつけてある。女の嫉妬ほど面倒なものは無い。トオルの話によると少々の問題が起きているようだが、それはエリナの知ったことではない。
「そう。それなら気持ち良いことしかしないで。痛いのは好きじゃないわ」
トオルが体の上にのしかかってくる。太ももを足で押さえつけられ、両手を掴まれてしまったらもう動くことはできない。彫りの深い顔立ちがすぐ目の前にある。長い睫毛が切れ長の瞳に影を落とし、どこか悲哀を含んだ表情に見える。
「どうしたの?悲しいことがあった?」
「エリナ、聞かないんだね。僕がどうして君に会いたいと思ったのか、あのあと親父がどうなったのか。気にならない?」
その声はあまりに真摯で、その瞳は切実で、この場に似つかわしい反応では無いと知りながらも、エリナは自身の足の間にある場所が濡れていくのを止めることができずにいた。
「気にならないわ。でも・・・話したいのなら、聞いてあげてもいい」
唇が重なる。トオルが薄く笑う。
「じゃあ、聞いてもらおうかな。僕のくだらないお話を」
何度もキスを繰り返しながら、豊かな乳房に唇を寄せながら、トオルは2年前の出来事を語った。