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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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時の邂逅 〜追記〜-3

『!!?土砂崩れだっ!馬車から出ろ!!』

 グロウは体から金色の陽炎を出し、残った客を囲み、一部を動かして馬車の後ろの壁を叩き壊した。
 グロウの壊した壁穴から客が出ていくのに、アキは流れる土砂を見つめたまま動かない。

『おいっ?!』

 グロウが声をかけると弾かれたように土砂の方へ走りだした。

『馬ッ……?!』

 慌てて腕を掴んで引き寄せると肩を抱いて止める。

「嫌っ!離してっスタン!スタンがっ!」

 目の前で旦那が土砂に流されたのだからパニックに陥るのも分かるが、今はそれどころじゃない。

『後で俺が捜しに行く!今は腹の子供の事を考えろ!』

 グロウの怒鳴り声にアキはビクンと反応して暴れるのをやめた。
 そのアキを引きずるようにして馬車の外に出た瞬間、メシメシと音がして馬車が流されていく。

 なんとか安全そうな洞窟を見つけた一行は、そこに落ち着き火を焚いて嵐が去るのを待った。
 残ったのはグロウとアキの他に男性が2人と女性が1人。
 グロウは男性2人にここを任せると嵐の中、外に出る。
 洞窟から離れた所で獣型になり、周りの様子を見に行った。

 土砂崩れは治まり、雨脚も弱くなっている。
 馬車が流された所に行くと、その先は大きな川と合流しており、流された人が生き残っているとは到底思えない。
 それでも川岸辺りを何度か巡って捜索してみたが何も見つからなかった。

 落胆して洞窟に戻ると何だか中が騒がしく、グロウはうっかり獣型のまま中に入る。

『どうした?!』

「ぎゃー!!」

『おっと……悪ぃ、俺だ』

 獣型のグロウを見た男達が悲鳴をあげ、慌てて人型になった。

「あんた……人間じゃ……」

『ああ、人間じゃないが敵でもない。それより……』

 いちいち説明するのも面倒くさいし、それどころじゃ無さそうだ。

「あ……ああ、妊婦の彼女が……」

 男の言葉にグロウは急いで洞窟の奥に行く。
 少し奥の方に小部屋みたいになった所があり、そこをアキともう1人の女性に使わせていたのだ。
 奥からはアキの苦しそうな声と、女性の励ます声……そして、血の臭いがした。


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