ドヨウビ-11
「サオリさん! もう僕、我慢出来ないよ!」
「ああ、待って、ショウ君、落ち着いて、ね?」
「そんな。あんなにエッチなサオリさんみてたら、僕、もうたまんないよ」
ショウは経験もやり方も分からないのに、切ないほどセックスを求めてきた。
性欲に満ちた、燃えるような男の目をしている。
既に、叔母とか甥という関係は彼の中で吹き飛んでしまっているようだ。
断るのは、容易ではないように思えた。
思わず、じゃあセックスしましょう、と言いたくなってしまうが我慢した。
「わかったわ。でも、今日は駄目よ」
「え、ええっ!? な、なんで……」
「ショウ君、明日サッカーの大事な試合あるんでしょう?」
「それは、そうだけど……」
「ショウ君は今日初めて射精したんだし、あんまり出すと明日力が出なくなっちゃうわ」
ショウはおあずけをされた子犬のような顔をした。
不謹慎だが、何故だか胸がすっとする。だが、それではあまりに救いがない。
「ごめんなさい。わたしは活躍するショウ君が見たいの。だから、明日頑張ってくれたら……続きを考えてあげてもいいわ」
「ほんとに!?」
「ええ、本当よ。約束するわ」
「……サオリさん、その約束、絶対忘れちゃ駄目だよ」
わたしは何も言わず、微笑んで応える。
我ながら、残酷なことをしてしまったなと思った。
あれだけやって、セックスは無しなんて。
思い切り自分の気を遣っている様子を、ショウに見せつけてしまっていた。
今までの男運のなさを、何も関係のないショウにぶつけてしまっているのか。
だが、疲労が明日でないとは言えないし、ショウのためでもある。
ショウが明日試合で頑張ればいいのだ。
日頃は大人しい彼の燃えるような瞳とそそり立つ勃起を見ながら、わたしはひとり明日を楽しみにする事にした。