凌辱の時間-4
そろそろ寝ようかという時間になって、いつものようにマミから電話があった。恒例になったノロケ話。明日のデートのことを考えるとドキドキして眠れないという。
『明日はね、一緒に遊園地に行こうかって言ってみたの。でもあんまりトオルくん乗り気じゃなくて、ドライブにしようって言われてるんだけど・・・ねえ、またエッチしたいって言われたらどうしよう。あんまりそんなことばっかりしてたら、何だか軽い女っぽくない?』
「そんなこと気にしなくても大丈夫よ」
『そうかなあ・・・トオルくん、夜は用事があるからって短い時間しか会えないんだって。でもそれでも会いたいって思ってくれるなんて愛されてる感じしちゃうよね!ああ、早く明日にならないかな、トオルくんの顔が見たいよ』
「マミったら、トオルくんのことばっかりだね。ふふ、楽しそうでいいな。ねえ、明日デートが終わってからでいいから連絡くれない?たまにはわたしの話もゆっくり聞いてよ」
『え?うーん、いいけど、もしトオルくんがもっと一緒にいたいって言い出したら・・・』
舌打ちしそうになるのをどうにかこらえる。
「マミのデートの話もいっぱい聞いてあげるからさ。ね、マミに幸せのおすそわけしてほしいのよ」
『うふふ、幸せだなんて・・・わかった、みずきのためだもんね。じゃあ終わったら連絡するよ』
「待ってる。明日はいっぱい楽しんできて」
震える手で電話を切った。明日の夕方、デートをたっぷりと楽しんだあとのマミの笑顔が想像できる。ちくりと良心が痛む。いいの?本当に大塚たちにマミを・・・本当にそれでいいの?
心の中にわずかな迷いが生まれた。いつのまにか取り返しのつかないところにまで足を踏み入れようとしているのかもしれない。でも、このまま黙っているわけにはいかない。だってわたしだけがこんなに嫌な思いばっかりするなんて、不公平すぎるじゃない。
悪いのは、わたしじゃないわ。
都合の悪いものをすべて見ないように考えないように、みずきは布団を頭から被ってぎゅっと目を閉じた。
眠りはいつまでたっても訪れてはくれなかった。