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れいこ・愛奴隷
【調教 官能小説】

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第一章-1

私は或る日、暇つぶしに街中の古本屋で本を探していた。
探していた、
というよりも散歩のついでに立ち寄ったといったほうが正しい。

その本が置いてある所は、古本屋の奥まった目立たない場所である。
普段はそんな本など興味がないのに、
何故かその日は妙にその本が目に付いた。

古本だというのに、その本は真新しかった。
いわゆる少し前まで普通の書店に、新刊書として並べてあったものに違いない。
数ヶ月前に、
私は駅前の本屋で、その本の表紙を見た記憶があるからだ。


最近は、新刊でも読み終えると直ぐに、古本屋へ出してしまい、
そこで新たな古本を購入する読者も少なくないという。
新しい方が値段を高値で売れるからだ、
とは言っても、たかが知れている。元の値段の何分の一以下だからだ。

しかし、数が増えればそれなりになる・・・
などと考えながら、私は気になったその本を手に取ってみた。


その本の著者は女性には人気のある作家であり、
時々テレビにも出ている才女である。

その本のテーマは「愛と苦しみの倒錯」という書名であり、
一時期それがブームになり、或るテレビ局でドラマ化された。

その内容は、リアルな女性の激しい生き方を生々しく書いていた。
女性にしては過激な内容だった。
彼女のファンでない私には、彼女が背伸びをして書いているように思えた。

女性が、こういう手の本を書くとマスコミがこぞって賞賛するのだ。
まことに、マスコミケーションに携わる輩はいい加減だと思う。

私はそのシリーズ化したドラマを見たが、
正直に言うと良く分からなかった。
女の生き様を、女の側から見て書いた小説だったが、
私にはぴんと来なかった。

はっきり言うと面白くも何ともない。
それよりも、後でわかるこの手紙の内容の方が余程、私の興味を引いた。


ただ、女性作家の意欲作と言われただけに、性的な描写が多く
話題作には違わないが、
私が驚いたのは、その小説の内容ではない。


新刊を直ぐに古本に出す心境は分からないが、故意かミスなのか、
その中に、或る長い手紙がその本の中に入っていたのだ。


しかし、それはよく見なければ気が付かないほど、本と融和していた。
手紙の内容はワープロで印刷されており、紙が折られてないからだろう。
自然に、本と大きさとも合っていたからだ。

後で、読むつもりで差し込んだのだろうか。
或いは読んだ後に、手紙が見つからないように本の間に入れ、
それを忘れたまま、他の本と一緒に古本屋へ売ってしまったのか・・
しかし、手紙は本を売った人の持ち物に違いなかった。
その本の持ち主が女性だと私は知っていた。


なぜならば、その本の裏表紙に女性の名前が鉛筆で書いてあったからであり、
その彼女の名前は、その手紙の中に登場する人物と同名だからである。

普通に考えれば、本を古本として出す場合には、
中にメモ等を挟んでいないか、書き物がしていないか等を確認するのだが、
この本の売り手はそれをしていない。

あたかもその手紙を見てくれとばかりに
誇示しているかのように私は感じるのだ。

彼女のその名前は「れいこ」と書いてある。
その手紙は彼女に宛てた男性からの長い手紙だった。





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