時の邂逅-6
「え……どれ?」
思わずキョロキョロと周りを見渡すデレクシス。
「君にとっての500年前が、俺たちにとっての今だ」
「はい?」
デレクシスはいい加減言い飽きた間抜けな返事をした。
『タイムワープ……時間移動だな』
「はいぃぃ?!」
突拍子もない話の結末にデレクシスは悲鳴をあげる。
「たまにあるんだ。原因は分からないが……例えば雷に打たれたとか、強い衝撃を受けた時にな」
「も、戻れるのか?!」
青くなったデレクシスはサガンに詰め寄った。
「…………さあ?」
サガンの答えはあっさりしたもので、デレクシスはがっくりと肩を落とす。
「どうにかなるだろうよ?それより未来の話を聞かせてくれ」
それよりって……他人事だと思って……デレクシスはサガンを睨むがサガンは全く気にしない。
「ああ、でも詳しくは話すな。歴史が変わる可能性があるからな」
サガンの言葉にデレクシスは簡単に自分の居た時間の事を話した。
現在起きている大陸同士の争いはいずれ終わる事、結果的に北の大陸が氷に閉ざされる事。
そして、自分の居る時間帯では召喚魔法は途絶えていて、召喚師はキアルリアただ1人。
この村人達のように精霊と契約している人物もほとんど居らず、知っているだけで自分を含めて3人だ。
「あっちじゃ精霊付きって言われてるけど……ここでは精霊人って言うんだな……」
精霊人の方が洒落てて良いなあ、とデレクシスは呟いた。
「召喚師が居ないなら精霊を見る事が出来る人が居ないからなあ……そりゃ、精霊人の数も減るだろ」
サガンは腕を組んでふむふむ頷く。
「精霊人はなんで集まっているんだ?」
デレクシスの質問にサガンは声のトーンを落とした。
「精霊人狩りから逃げて来たんだ……」
魔法使いはその力を使わなければ魔力を持っている事はバレないが、精霊人は精霊を連れているのでバレる。
精霊人は戦力になるので捕らえて兵士として戦場に送りこまれるのだ。
「それでここに?」
「俺も逃げてきたクチだ……もしかしたら、家族は殺されてるかもな……」
家族を人質にして言う事を聞かせる……ダメなら見せしめとして家族は公開処刑……何処の大陸も結局やってる事は同じなのだ。