時の邂逅-5
「どうでも良くない。カイザスは海に……ファンに一番近い国じゃないか……まだ激戦が続いているだろう?それとも、終戦したのか?」
「はい?」
今日はこれで何度目の間抜けな返事だろう?……カイザスはどことも戦争していない。
「えっと……カイザスが何処と戦争を?」
「カイザス、と言うか……大陸同士の争いは激化していると……」
「はいぃ?!大陸同士の争いって……え?」
「え?」
サガンとデレクシスはお互いの話が理解出来ずに、ジーッと見つめ合ったまま固まった。
何かがおかしい……何かが……。
『整理してみよう』
沈黙を破ってそう言ったグロウはぐんっと人型になった。
黒髪、金目はアースやグロウと同じだが、顔つきはまるで違う。
ワイルド系のアース達に比べて、こっちのグロウはクールビューティー?という感じだ。
『……じろじろ見るな』
「あ、いや……すまない……私の知っているグロウとはやはり違うみたいだ」
デレクシスの言葉にグロウは片眉をあげる。
『まず、そこから行こう……お前の知っているグロウとは?』
グロウは紙を2枚持ってきて、1枚に『デレク』、もう1枚に『サガン』と書いた。
デレクシスは自分の知っているグロウの話をする。
デレクシスの知っているグロウは、元々は人間と魔獣のハーフで、魔獣部分が溢れて暴走した時、たまたま居た召喚師キアルリアの魔力を使い、分離の魔法陣で人間と魔獣に別れた。
暫くはそのキアルリアと契約していたが、今は契約を解消している。
魔獣の姿はそっくりだが、人型の方は似ていない事も追加する。
「……と言うのが私の知っているグロウ」
話終えるとグロウが大きく息を吐いた。
『魔獣の名前は重複しない』
「え?」
『魔獣の名前は魂に刻まれているようなものだ……絶対に同じ名前は存在しない』
「でも……」
『その話が本当なら……そのグロウも俺だ』
益々ワケが分からない。
「さっき、大陸同士の戦争の事に心当たりが無いような素振りをしたよな?」
今度はサガンが話を振ってきた。
「心当たりはある……けど、私が知っているのは500年前の話で……」
「『それだ!!』」
デレクシスの言葉を遮って、サガンとグロウがデレクシスを指差して同時に叫ぶ。