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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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時の邂逅-4

「ん?召喚師のサガン様だよ?」

「………………はい?」

「サ・ガ・ン・さ・ま」

 間抜けに聞き返したデレクシスに、ウィルはひと言ひと言丁寧に発音する。

「いやいや、そこじゃなくて」

「召喚師?」

「そこ。彼は召喚師なのかい?」

 召喚師は500年前に全員死んで、今はキアルリアしか居ないと思っていた。

「うん。だから精霊人(せいれいびと)が集まってるんじゃん」

「精霊人?」

「デレクもでしょ?だから此処に来たんじゃないの?」

 落ち着いて状況を把握しなきゃいけないのに、混乱するばかり。
 自分が無知なのか?召喚師が他に居るなんて聞いてないし、精霊人って何?……デレクシスは思わず頭を抱え、ザックが心配そうに見つめた。
 そして、そんなデレクシスを更に混乱させる出来事が起こる。
 ザザッと葉っぱの擦れる音がしたかと思ったら、サガンの直ぐ横に黒くて巨大な猫が音も無く降りてきた。

「グロウ?!」

 デレクシスは立ち上がって叫ぶ。
 そこに現れたのは紛れも無く、グロウだったのだ。

「……知り合いか?グロウ」

『知らん。貴様、何故俺の名前を知っている?』

 サガンに聞かれたグロウは鼻をひくつかせてから喉の奥で唸る。

「え?え?グロウじゃ……?」

 様子がおかしい……グロウがデレクシスを忘れるワケない。

「……ふむ……デレクと言ったな?2人で話をした方がよさそうだ」

 サガンは立ち上がってデレクシスを促した。
 確かに、これは普通じゃない……デレクシスはサガンの後をついて行き、ウィルは心配そうにそれを見送る。

「……さて、お前は何者だ?何処から来た?」

 一番大きい家に入ったサガンは、真ん中の椅子に座ってデレクシスにも座るように勧めた。
 サガンとグロウの鋭い視線に、嘘や誤魔化しは通じないと思ったデレクシスは椅子に座って包み隠さず話す。

「私は南の大陸カイザスの第3王子、デレクシス=J=カイザス。ゼビアに行く途中、海に落ちたらしい」

「カイザスの王子がわざわざゼビアに?護衛も連れずに?」

「う……私はかなりの甘ちゃんだから世間に揉まれた方が勉強になるかと……そんな事はどうでもいい……」

 自分の世間知らずは重々承知しているが、わざわざ他人に教えてやる事もない。


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