投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

ゼビア・ズ・サイドストーリーの最初へ ゼビア・ズ・サイドストーリー 113 ゼビア・ズ・サイドストーリー 115 ゼビア・ズ・サイドストーリーの最後へ

時の邂逅-24

「覚え…て……?」

『いや、忘れてた。まぁ、詳しく話してやるから……とりあえず、キャラを離せ』

 落ち着いて見てみると、デレクシスもキアルリア……キャラも、グロウまでもがずぶ濡れになっている。
 腕の中で不思議そうな顔をしているキャラの首に、デレクシスはコテンと顔を埋めた。

「デレク王子?」

「すまない……少しだけ……」

(戻ってきて……しまった……)

 すがるような感じのデレクシスの髪から水が滴り、頬を伝って流れる。

(泣いてる……?)

 細かく震えるデレクシスに気づいたキャラは、彼の背中に腕を回して落ち着くまで優しく撫でてやった。


 ずぶ濡れだし、皆が心配しているからと、詳しい説明を後回しにされたデレクシスはソワソワしながらも大人しく言う事を聞き、ザックに乗ってそこから一番近いゼビアの城に移動した。
 シャワーを浴びて身なりを整えていると、アースが迎えに来た。

「よぉ、タイムトラベラー」

「笑えないよ」

 アースの冗談など今はちっとも面白くない、とデレクシスは憮然とする。

「はは、そうかもな……グロウが聞きたい事に答えるとよ。国王が自室を貸してくれた」

「ドグザール王が?」

「興味津々だな、あのおっさんは……聞かれたくねぇなら他の部屋にするぞ?」

 グロウと2人の方が良いならそうする、とアースは言った。

「いや、大丈夫。他の人にも聞いてもらった方がいい」

 デレクシスはそう答えてアースと共に部屋を出る。

 ドグザール王の部屋には部屋の持ち主の他に、イズミ妃、キャラ、グロウ……そして、もう1人ゼビアの宮廷魔導師フィシュラが居た。

「初めまして。デレクシス王子。わたくしは宮廷魔導師フィシュラ。以後お見知りおきを」

 80歳くらいで緩やかウェーブの茶色の髪、水色の瞳のその女性は穏やかに微笑む。

「はあ……こちらこそ」

 何でこの人がここに居るんだろう、と思いつつデレクシスは他の面子にきちんと挨拶をしてソファーに座った。

「500年前に時間移動してたらしっじゃねぇか。あらかたグロウに聞いたが、お前ぇの口から聞きてぇ」

 ドグザールの言葉にデレクシスは自分が経験した事を話す……召喚師サガン、その契約魔獣グロウ、精霊人……勿論、ウィルとの秘め事は隠しておく。

「……あっちじゃ1ヶ月半過ごしましたがこっちじゃ3日しかたって無いみたいですね」

『時間移動ってのはそういうもんだ。1年間向こうで過ごしたのに、こっちじゃ2時間しか経ってなかったって例もある』

 デレクシスの疑問にグロウが答えた。


ゼビア・ズ・サイドストーリーの最初へ ゼビア・ズ・サイドストーリー 113 ゼビア・ズ・サイドストーリー 115 ゼビア・ズ・サイドストーリーの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前