投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

ゼビア・ズ・サイドストーリーの最初へ ゼビア・ズ・サイドストーリー 110 ゼビア・ズ・サイドストーリー 112 ゼビア・ズ・サイドストーリーの最後へ

時の邂逅-21

「貴様っ!」

「げ、バレた」

 デレクシスは慌てて気絶している男から剣を抜き取り、構える。

『デレク!サガンの縄を切れっ!』

 グロウの言葉にデレクシスは剣を持ってない左手で簡単な魔法陣を空中に描いた。

「真!捌!!」

 呪文を唱えると魔法陣から真空の刃が飛び出す。
 刃はシュンシュンと回転しながらサガンに向かい、ついでに立ちはだかった残り4人の追っ手の腕や足の筋を狙って切り裂いた。

「ぐあっ」

「いぎぃっ」

 追っ手達は地面に倒れ、のたうち回る。
 サガンの方は傷ひとつ付けずに、縄だけが切れてパラリと落ちた。
 術の憶えは遅いが、コントロールは抜群……というのがデレクシスを指導した魔導師ベルリアの評価。
 複数の刃をここまで正確にコントロールさせるのはかなり繊細な作業だ。

「感謝!グロウ!」

 サガンはグロウを喚んで異界に引き戻す。
 グロウの身体が光の粒になってサガンの中に入っていった。

「よし、これでグロウは大丈夫だ……つうっ……」

 サガンは左肩を押さえてうずくまる。

「サガン!」

 デレクシスはサガンに駆け寄り、身体を支えた。
 駆け寄る途中でしっかりと追っ手達を踏みつけたのは見なかった事にする。

「大丈夫か?!」

「なんとか……助かったよ、魔力封じの縄だったんだ」

 だから魔力が使えず、グロウを異界に戻す事も出来なかった。
 サガンの左肩に刺さっていた矢を抜いたデレクシスは、それを握り折って倒れている追っ手達をギッと睨んだ。

「サガンがお前らに何をした?!何もしてないだろう!?」

 戦いを好まないサガンは追っ手に対して攻撃していなかった。
 じゃなければ、追っ手などとっくにやられている。
 デレクシスの怒号に追っ手達はギリッと顔を険しくする。

「何もしていないからこそだ!我々も命が……仲間や家族の命がかかっているんだ!」

 追っ手の言葉にデレクシスはハッとした。
 好き好んで戦う人間など居ない……彼らも必死なのだ。

「デレク……行こう」

 サガンは悲痛な表情でデレクシスを促す。

「……すまない……」

 追っ手達に小さく謝ったサガンは森の方へ歩き出した。

 その時

 バサリという音が耳に響き、地面に大きな影が落ちた。


ゼビア・ズ・サイドストーリーの最初へ ゼビア・ズ・サイドストーリー 110 ゼビア・ズ・サイドストーリー 112 ゼビア・ズ・サイドストーリーの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前