時の邂逅-15
「はぁ……はぁ……はぁ……ウィル……」
デレクシスは肩からウィルの足を降ろして、繋がったままウィルの躰を抱き締める。
「デレク……好きよ……」
「私も……好きだよ……」
キスを交わした2人は愛を確かめ合い、幸せそうに目を閉じた。
翌日、バリーが居るかもしれないとデレクシスが居た場所を中心に捜してみたが、小さな痕跡すらも見つからなかった。
多分、跳ばされたのはデレクシスだけだったのだろうと結論付け、デレクシスは精霊人と召喚師の事を調べるのに集中する事にした。
そして今、精霊人達がデレクシスを囲んで何やら彼に教えてやっていた。
「はい、息を吸ってぇ」
スゥー
「止めて」
ピタッ
「そのまま、ザックの中に入っていくイメージ」
「……………ぶはあっ!」
「ああ……」
ぜえぜえと肩で息をするデレクシスに、精霊人達からため息が漏れる。
「……まだ、ムラがあるな」
「はぁ……はぁ……集中力…が……?」
「シンクロの度合いかな?」
いったい何をしているのかというと、こっちの精霊人なら普通に出来る事……精霊との完全共有。
意識だけでなく、体も共有するのだ。
デレクシスを囲む精霊人達はそれぞれ完全共有している。
烏の羽を背中に生やしてたり、耳が狼だったり、下半身が馬だったり……同じ鳥でも両腕が翼になっていたりと様々。
ただ、水の精霊人は体が乾燥するのは嫌だ、と完全共有はしなかった。
「シンクロ……かあ……」
こっちの精霊人は子供の頃から精霊と契約し、共に成長しているので自然に出来るらしいが、デレクシスの場合は精霊と契約してから半年ぐらいしかたっていない。
しかも、魔力を持っているのも知らなかったぐらいなので中々難しいのだ。
「今日はこれぐらいにしとこうか?」
「焦らない事が大事だよ」
「ザックとよく向き合う事もね」
「……はい……」
完全共有を解いた精霊人達はデレクシスにアドバイスをしてその場を立ち去った。
それを見送ったデレクシスはブハァッと息を吐いて地面に座り込む。