診察-1
「あー…ノドが痛い。」
珍しく体調を崩してしまった。
アルバイトが続けて入っていたから、その疲れから風邪をひいてしまったのかもしれない。美里はそんな事を考えながら、母親に体温計を渡した。
「うーん、微熱があるわね。美里、車で送るから病院行ってきなさい。」
「…はーい。」
正直言って病院は嫌いだ。軽い気持ちで行って、実はとても重い病気でした、なんて事があったら嫌なのだ。
でも、そんな子供みたいな理由が通じるような年齢でもない。憂鬱な気持ちを取り払うように、美里は病院へ行く支度を始めた。