志津の受難-8
「この女を外にこのまま放り出してバケツの水でもかけておきなさい! これは命令よ!!」
玲には情けというものがないらしい。気を失った哀れな志津を徹底的に辱めるつもりなのだ。
「もう…十分気が済んだでしょ? 病院に連れて行くわよ…」
玲の後ろには直見がいつの間にか立っていた。
ジャージ姿に着替えていた直見は、人だかりに分け入って糞まみれの惨めな志津を抱え上げると、車に運んでいった。身体に汚物がつくのもまったく気にしていない様子だ。
ワゴン車の後部座席には既に青いビニールシートがかけられている。直見はそこに志津を寝かせるとドアを閉めた。
「コーチは、私が病院に連れて行きます。後で連絡するから、みんなは治療が終わってからきて下さい」
その言葉には有無を言わせない無言の圧力があった。
直見は淡々とそう言い残すと車を発進させた。
皆、あっけにとられていた。
6.
そしてここは病室。
志津が担ぎ込まれた病院は、あの『冴木クリニック』だった。
志津は朦朧とした意識の下で何か悲しい夢を見ていた。
あんなに愛していたお姉さまと離れ離れになってしまう夢だった。
(…お姉さま! お姉さま! 私を置いていかないで…!!)
意識を取り戻すと、自分がベッドに寝かされていることにようやく気づいた。
(ここは一体…どこ…? 私…どうしたんだっけ…)
志津は記憶をたどって今日の出来事を反すうした。
(やられたわ…!! 私としたことが、あんな恥ずかしい目にあわされるなんて…)
「痛うううっ!!」
玲に打たれた左腕、下腹部、そしてアソコが焼けるように痛い…!
これでは当分、練習には参加できそうにない。
剣道部を陰から操り何かを企んでいる黒幕は想像以上に手強いとわかった。
(次に打つ手を早く考えなければ…!)
しかしどこか様子がおかしい。
糞にまみれた身体はすっかり清拭されているようだが、素っ裸のまま分娩台に固定されている。両脚を広げた状態で固定され、性器を丸出しにした恥ずかしい恰好だ。両腕も固定されている。
ギュルルルゥゥ…ッ!
腸が激しく蠕動した。ぶり返してきた激しい腹痛に志津は顔を歪めた。
「くっ…。お…おぁぁぁっ…!!」
ビチビチビチビチ…ッ!!
たちまち下痢便が噴出する。分娩台の下に据え付けられたトレイはたちまち茶褐色の液体で一杯になってしまう。
ピュッ。ピュルッ。
ひくついた肛門が断続的に下痢便を垂れ流す。
勝負に負けたという屈辱感と羞恥心がこみ上げてきて、志津の瞳から思わず涙がこぼれた。
「ふふふ…。大股開きでウンコ垂れ流しとはずい分惨めな姿ね」
「………っ?!」
はっと気づくと、志津の枕元には1人の女が立っていた。
いつの間に近づいたのか?
「ひさしぶりね…。会いたかったわよ。何年ぶりかしら?」
「あ…あなたは…っ!!!」
その女を見た時、志津の表情が凍りついた。
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剣道部の皆が駆けつけた時、鎮静剤を打たれた志津はベッドに寝かされて眠っていた。
全裸の上から手術衣を着せられ、パンツの替わりに成人用のオムツを当てられている。
「私は院長代理の成田と申します」
痩せてメガネをかけた神経質そうな女性医師が出てきて、部員達に症状を説明してくれた。
「下剤の量を間違えて飲んでしまったようですね。普段から便秘気味だったのでしょう、薬が効きすぎてひどい下痢になっています」
「…ママの身体は大丈夫ですか?!」
「下腹部と股間の打撲傷は大分ひどいですが、命に別状はありません。当分排泄には痛みが伴うでしょう」
「そ、それで、いつ頃退院できますか…?」
「今夜は泊っていただき、明日には退院できます。当分自宅で安静にしていて下さい」
愛花たちはほっと胸をなで下ろした。
皆、付き添いとして病室に泊まっていきたいのはやまやまだったが、玲に気兼ねしてそれも出来ない。
結局、娘である愛花だけが付き添うことになった。
その夜。
志津は高熱を出してうなされた。
無様な公開排泄刑と股間打撲は、身体だけでなく心にも大きなダメージを与えたようだ。
「うううん…ううう…ううっ!」
愛花は手拭いを水で絞って、志津の額の汗を拭いてやる。
「はっ?! そこにいるのは…愛花…? …来てくれたのね?」
「ママ…気がついたのね! 良かった…!」
ようやく目を覚ました志津を心配そうにのぞき込む愛花。
「心配かけてごめんね…」
「ママが、何でこんな酷い目に合わなくちゃいけないの…?!」
「仕方ないのよ。コーチを引き受けた時点で覚悟はしていたことだもの」
「そんなことって…」
愛花は絶句した。そんな覚悟までして引き受けたというのか?
「うううう…っ!」
「大丈夫っ?!」
ビチビチビチ…ッ!!
志津がお腹を抱えて苦しんだ。止まらない下痢効果でまた催したようだ。
下半身に当てられた成人用オムツがたちまち黄色く染まってゆく。
汚れたオムツを外し、母のお尻を拭きながら愛花の心の中でふつふつと怒りが湧き上がる。
「ママをこんな目に合わせた人を、私、絶対に許さない…!!」
「ダメよ、愛花。これは剣道の勝負。あなたも剣士なら、この借りは竹刀で返すのよ」
「そんな…っ」
「橘玲は強いわ。今のあなたじゃ勝てない。もっともっと精進なさい」
「ママ……。私、悔しいよ…っ!」
愛花は声を殺してすすり泣いた。
しかし事件はこれで終わりではなかった。
さらなる淫虐の渦が母娘を飲み込んでゆくのを2人はまだ知らない。