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ひかえめでチワワなあの子は意外と
【その他 官能小説】

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...意外と?-5

『…へ?え?す、好き?って、いつから…?』



「夏目さん、ここに引っ越してすぐうちの歯医者来てくれるようになりましたよね。その時からです。」



それって…



(1年以上前の話じゃねーか…!)



俺は、最近まで郁のことなんて全然知らなかった。

歯医者で見かけたことがあったとしても、緊張と恐怖でそれどころじゃなかったし…

なのに郁は、俺をずっと見ててくれたっていうのか?

遊びってわかっていながら、健気に俺のところに来てくれていたっていうのか…?



(…郁ってすげぇ……)



嘆声がもれた。

全身の力が一気に抜け、郁の肩に顔を埋める。



『…参った。降参。』



いつかと同じ言葉を綴り、そのまま続けた。



『俺、郁が好きだわ…』



“好き”なんてくだらない感情だと思ってた。

マンガやドラマでしかあり得ないものだと思ってたし、まわりの友人たちが恋してるのも一時の錯覚と決めつけて、哀れだとさえ思っていた。



(でも俺、もう郁のことすげー好きじゃん…)



郁の笑顔でからだの中があったかくなるのも。

心臓がぎゅうって締めつけられてる感覚になるのも。

もっと知りたいって思うのも、抱きしめたいって思うのも、郁の一挙一動で幸福感に満たされるのも…

全部、好きだからじゃないか。



(ばかだ…俺。)



いままで気づこうとしなかったのか、それともそんな感情が芽生えるなんて思いもしていなかったのか。

もう一度郁の首元で大きな溜め息をつくと、郁が首を曲げるのがわかった。

顔を上げると、笑顔でこちらを覗きこんでいる。




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