堕天使のいる部屋-1
何か、嫌な予感がしている。
根拠がある訳ではないが、漠然と感じる危険。
なぜ俺は、こんなにも心臓の鼓動を早めているのか。
小学校の教師になり、三年目になる。今年は、六年生の担任だ。
学園ドラマが昔から好きだった。
ある時は熱血に、ある時はクールに生徒の苦悩を解決していく教師たち。
ドラマの話である。そういう話がそうそうあるものではない事は知っているが、それでも俺は、ああなりたいと思っていた。俺の、小さい頃からの夢なのである。
教師として、生徒を救う。
そうして、いつしかその生徒が、また救いを求める他者を同様に救っていく。
世の中そんな具合に、よくしていけるのではないか。俺も、誰かを救う一員になりたい。
だから俺は、教師になった。
だが、現実はそう綺麗事だけで済むものではない。