堕天使のいる部屋-4
次の日、サチが俺の家にやってきた。
彼女は件のギリギリのミニスカを着ている。辛うじて、下着だけ隠れるようなやつだ。
その下には黒いハイソックス。彼女なりに、かなりおめかしをしてきているのだろう。
しかし、どういうパーティがあるんだ?
とりあえず、彼女を部屋の中に入れた。
「へぇ〜、汚いかと思ったら、ミッチーきれいにしてるじゃん」
「当たり前だ。それより、俺はここに残ったら、駄目なのかよ?」
「ダメ、ダメ、それは絶っ対、ダメ! 悪いけど、夕方まだ戻っちゃダメだよ!」
「なあ、俺の部屋なんだぞ?」
「はい、はい、いいからいいから、もう早く出た出た!」
「おい」
「ミッチーの携帯番号教えて? 終わったら、連絡するから」
そういうと、サチは俺を部屋から締めだした。これが教師と生徒の関係か?
我ながら呆れたが、仕方がない。
これで俺は、夕方まで暇を潰さなければならないハメになった。
だが、俺は自室にある仕掛けをしてもいた。
生徒相手にやることではないが、どうしても嫌な予感がやまなかったのだ。
ブラブラ何の宛もなく暇を潰すというのは、予想以上に苦痛だったが、ようやくサチから電話が来た。
終わったから、戻っていいと言ってきた。よほど騒いだのか、声が少々疲れている。
部屋に戻ると、サチが俺のベッドの上で、眠そうにしていた。
「……あー、おかえり、ミッチー」
「ああ、随分眠たそうだな」
「うん。なんか、騒ぎ過ぎちゃってさ」
「楽しかったのか」
「うん、まァね」
「何人くらい来たの?」
「あー……っと、5人……くらい?」
「なんだよ、そんな事も覚えてないのかよ」
「うーん、なんか疲れちゃって。あ、部屋貸してくれてありがと、あたし帰るね」
「あ、ああ、なんか顔赤いぞ? 気をつけて帰れよ」
「え、うん。じゃあね、ミッチー」
期待した訳ではないが、俺へのサプライズ、という事ではなかった。
パーティをしたような形跡も見当たらなかった。朝と、あまり変わりがないのである。
まあ、人の部屋で騒いだなら普通は片付けて帰るものだろうが。
かすかに、汗のすえたような臭いがする。俺の、ベッドから?
サチのやつ、ずっと寝てたとか? まさかな。
いづれにせよ、それもこれも、今から全て分かる。
俺は、ある一角にビデオカメラを置いて出ていったのだ。
この間に起こったことは、気が引けるが、把握させてもらうぞ。
なめられていようと若造だろうと、これでも俺は、教師なのである。