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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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王様の嫁取り大作戦-9

「俺の手で、籠から出してやりてぇって……ありのままのあいつで居て欲しいって思った」

 ドグザールはハーモニカをぱしりと握る。

「自由になったあいつが見てぇんだよなぁ……」

 そのままハーモニカを額に当ててコツコツ叩いていたドグザールは、ふと顔を上げた。

「……俺さぁ……やっぱ自分で話すわ」

 ドグザールは立ち上がって塔の中に戻り、階段を降りる。
 アースはその後ろを歩きつつニヤリと笑った。

「やっとらしくなって来たな……」

 そうでなきゃ面白くない……ゼビアの王様は猪突猛進でいてくれなきゃ仕え甲斐が無いってもんだ。


 そんなワケでドグザールはアースとキャラの宿舎に乱入する。
 バーンと開けられたドアに、驚いて振り向いたキャラの目の前にある鏡にはイズミが映っており、こっちも目を丸くして驚いていた。
 腰まである長い黒髪がサラリと肩を滑って落ちる。

「よぉ、近々お前ぇを嫁に貰いに行っから」

 単刀直入。

『……正気?』

 イズミは深緑色の目を細めて馬鹿にしたように言う。

「正気も正気。大真面目」

 ドグザールは全く気にせずニヤニヤして答えた。

『……でしたら急いで下さい。1週間後に結婚予定の殿方との顔合わせがあります……それが済んだら婚約発表になりますから……』

「なんだとぉ?!」

 ため息混じりに伝えたイズミの言葉に、ドグザールは仰天して怒鳴る。

『ああ……でもそちらからサイラまで1ヶ月はかかりますわね……』

「うっせぇ!!絶対に行くから待っとけ!!」

 ドグザールの台詞にイズミは一瞬……本当に一瞬だけ嬉しそうな表情をした。

『期待せずに待ってますわ……じゃあね、キアルリア』

 素っ気ない返事をしたイズミは一方的に通信を切る。

「くそがっ……アース!直ぐにサイラと通信を繋げ!!緊急信号付きでな!!」

「はっ!」

 ドグザールの命令にアースは敬礼で答え、踵を返して城に走った。


「サイラ王!先に無礼を詫びておきますぞ!!」

 緊急通信を受けたサイラ王に、ドグザールは挨拶も無しに話し出す。

『ゼビア王緊急通信とは何事じゃ?!』

 あまりの剣幕に何か問題でも起きたのではないか、とサイラ王は怪訝な表情で聞いた。


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