王様の嫁取り大作戦-6
「なにか考えがあるのか?」
驚く重鎮達を無視してアースが聞く。
「外堀から固めろ。他の国を味方につけるんだよ」
「はあ?」
話が大きくなってきた……不謹慎だがワクワクしてくる。
「もちろん、ファンはこっちに着く。それだけでかなり有利だが……この際、南のカイザスにも声をかけよう」
カイザスはお祭り気質なので、こういった面白そうな事には喜んで首を突っ込む。
「なあ、俺の嫁取りに国単位で協力っておかしくねぇか?」
「正直な話、他国から見たらゼビアは落ち着きが無いんだよ」
ゼビアは他国に比べて王族に歴史が浅い。
ドグザールでまだ三代目だし、この後、跡継ぎが出来なければまた王が変わる。
その度友好関係を築き直すのは、他国にとっても迷惑なのだ。
活気があるとも言えなくはないが、王がコロコロ変わるのはいただけない。
「出来れば、ゼビアにはこのまま歴史を重ねて行って欲しいのが他国の人間の本音。その為には多少のリスクを負ってでも協力は惜しまないだろ」
リアルに他国の人間であるキアルリア姫の意見に重鎮達は頷いた。
「確かに……このままほっといて知りませんでした、なんて言いたくはないですな……」
「ここは国をあげて仰々しく嫁取りをして頂きましょうか」
あっさりと心変りした重鎮達にドグザールは苦笑いしてしまう。
カリスマ性と引力はアースが上だが、政治手腕と説得力は完全にキャラが上手。
ゼビアの王として負けてはいられない。
「問題がひとつ」
具体策を練り出し始めた重鎮達を遮って、今度はアースが発言した。
広間が静まり返り、アースに注目する。
「イズミ姫にその気があるかどうか……」
「「あ」」
勝手に盛り上がってしまったが、相手にその気が無かったら本当に完璧犯罪者だ。
基本的な事をすっかり忘れていた。
そんなワケで、個人的に友達であるキャラがさりげなく探りを入れる、と言う事になり今日の集まりはお開きとなる。