王様の嫁取り大作戦-3
「無謀と言うか……サイラを敵に回すおつもりで?」
サイラの姫を嫁にくれ、と言う事はその血脈を……サイラの礎を壊せと言っているようなものだ。
サイラ側は全勢力を持って拒否、最悪の場合ゼビアに対して宣戦布告だろう。
「……そうなるかぁ……」
ドグザールは首をガクンと落とした。
さすがに個人の感情で国を危険に晒すワケには行かない。
「なぜイズミ姫を?」
「ん〜…?ファンでよ、あいつ結構かっこ良かったんだよな」
ファンに魔物が攻めて来た時、看護師資格を持っていたイズミ姫は率先して救助に当たっていた。
右往左往する他の王族や貴族とは大違い。
だからこそ、戦線に出る時、ゲン担ぎに彼女の唇を求めた。
「そうですか……」
「ぶっちゃけ、イズミがダメなら誰でもいっかなぁ……なんて気にもなってんだが……それじゃあ、相手に失礼ってもんだしなぁ」
打算が働かなければ結構、誠実な男であるドグザールは真剣に悩んでいるようだ。
「……ドグザール王、少し体を動かしませんか?」
「はあ?」
いきなり何だ、とドグザールは立ち上がったキャラを見上げる。
「考えてばかりじゃ白髪が増えますからね」
確かにここの所ずっと資料とにらめっこだった。
「……お前ぇが相手か?」
「ハンデつけますよ」
2人は視線を交わすと、騎士団の訓練場へ足を向けた。
ゼビアの南地域で魔物退治を終わらせて帰ってきたアースは、訓練場の騒ぎを聞きつけて覗きにきた。
「……うちの王様と俺の嫁は何をやってるんだ?」
訓練場ではロングソードを構えたドグザールと、ドレス姿のままのキャラが長剣を持って対峙している。
「アース隊長!お疲れさまッス」
「相変わらず、姐さん強いっスねえ」
見学していた騎士団員が次々に声をかけてきた。
「ちょっと気晴らしにって事らしいっスよ?」
「ふうん」
しかし、これは気晴らしになるだろうか?ドレス姿の小娘に良いようにあしらわれれば苛々がつのりそうだが……。